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ハルクイベント13

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 パックさんはハルクの問いかけに、少しだけキョトンとした表情を浮かべた後、パックさんにしては珍しい意地悪そうな表情で笑った。

「未来の旦那さん」

「「え」」

「……候補の一人、かな? 今はただの親しい同業者ってとこだけど」

 ……び、びっくりした。パックさんでもそんな冗談言うんだ。
 あ、でもこれ、もしかしないでも、精神退行して自分忘れちゃったハルクへの当てつけか? こないだ地味に宣戦布告されたわけだし、その可能性は否めないな。

「……恋人とか、そういう関係ではないのですね? なら、良かったです」

 ハルクは、ほっとしたようにため息を吐くと、ちらりと私を眺めた。

「いくら生命の危機はないと分かっていても、身を挺してマンドラゴラの叫び声から庇うくらいですからね。……きっと、大人の僕はすごくすごくリッカさんのことが好きだと思うんです。それなのに、パックさんとリッカさんが恋人同士だったらきっと辛いから……本当良かったです」

 ……………………。

「……いや、別にハルクが私を庇ってくれたことに、それほど他意はなかったと思うよ?」

「大人であろうと子どもであろうと、僕は何とも思ってない相手の為に身を犠牲にするほど、お人好しじゃありません」

「何、その自信。大人のハルクは、君が思ってるより優しくていい奴だよ! もっと自信持って!」

 何せただの友達の為に、体はってくれるような奴なんだから!

「ですよね! パックさん!」

「……まあ、ハルクは僕が同じ目に遭いそうになったとしても、庇ってくれたかもしれないとは思うよ?」

「ほら!」

「…………どうでもいい相手には、そこまでしないだろうって点では、同意するけどね」

 ぽそりと最後に付け足された言葉は、小さくてよく聞こえなかった。
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