転生したら、実家が養鶏場から養コカトリス場にかわり、知らない牧場経営型乙女ゲームがはじまりました

空飛ぶひよこ

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ハルクイベント6

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 私の問いかけに何故かハルクはどこかばつが悪そうな表情で視線を逸らした。

「……片側はほとんどお前と同じ魔具だ。最上級の性能を誇るそれに比べれば、グレードは落ちるがな」

「そっか。で、もう片方は?」

「…………これだ」

 差し出されたのは、ハルクの右手。
 その掌には、何やら魔方陣のような紋様が描かれていた。

「外音遮断魔法を、特殊なインクを使って掌に描いてある。ただの魔法だけならば、マンドラゴラに対抗するのは難しいが、掌という直接耳を塞ぐことができる遮断媒体があれば十分に叫び声を防ぐことができる」

「……なんで、わざわざそんなことを?」

 耳栓型の魔具を二つ買うことなんて、国所属の植物学者であるハルクの収入を考えれば、そんなに難しいことではないだろうに。
 いぶしがる私の視線を、ハルクは明後日の方向を向くことによって避けた。

「その、まあ、なんだ? ……耳栓型の魔具を両耳に装着すると、マンドラゴラの叫び声が一切聞こえなくなるからな」

「? 聞こえなくなくなった方が良いでしょ? 叫び声を聞いてしまう可能性を考えると」

「……………」

 私の言葉に黙り込むハルク。……あれ、私なんか変なこと言ったか?と少し考えて、ようやくハルクが言わんとすることを察した。

「……え、ハルク。もしかしなくても、敢えて両耳に魔具を装着しないことで、緩和されたマンドラゴラの叫び声を聞けるようにして、叫びの効果がどんなものか自分の体を実験台にして確かめてたりする?」

 返ってきた沈黙は、イエスを意味していた。--いやいやいや、危ない、それ危ないって!

「いくら致死性でないからって、自分を実験台にするのは危な過ぎない!? てか、品種改良する前はどうやって効果確かめてたの!?」

「まあ……一般的なマンドラゴラでも、片耳だけでも聞こえない状態にしておけば、致死性はなくなることは既に先行研究で証明されているからな……」

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