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ハルクイベント5

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『安心しろ。オレが品種改良した結果、叫び声の致死性を取り除くことには成功した。うっかり叫び声を聞いてしまっても、ただただ死ぬほど苦しくて辛い想いをするだけだ』

 最初にマンドラゴラの種をもらった時にハルクに言われた言葉を思い出す。
 ……うっかり魔具が外れてしまったら、死にはしないけど死ぬほど辛くて苦しい目が待ってるということだけど。

「……具体的に、どんな事態が引き起こされるの。マンドラゴラの叫び声を聞いちゃったら」

「分からん」

「え?」

「……致死性は確実に取り除かれたのは確かだが、具体的な効果は生育環境によって変わってくるんだ」

 ハルクは深くため息を吐くと、すっかり伸びて花が開いたマンドラゴラに向き直った。
 叫び声を聞くと悲惨な運命が待っているとは一見して信じられないくらい可憐なその花は、ハルクの視線に応えるかのように風もないのにふわりと揺れた。

「マンドラゴラの叫び声は、色々謎が多いんだ。音を遮断する魔具は唯一有効な手段ではあるが、一方で防御系の魔法は無効化されるし、音を完全に遮断する聴力遮断魔法すら強力な固体には破られる時もある。……完全にマンドラゴラの叫び声を遮断するには、単純な魔法だけでは足りず、併せて物理的に遮断する媒体が不可欠なんだ」

『ごめんなさい。リッカ。……本当は、魔法で確実に貴女をお守りできるようにしたかったのですが、魔具の性能を最大限まで引き上げるのが精一杯でした』

 申し訳なさそうに眉を八の字にしながら、魔具を渡して来たセルドアの姿を思い出す。
 セルドアに魔法で何とかしてもらうつもりだった私としては、正直意外な対応だったが、そういう事情があったのか。

「……それで、ハルクは? セルドアは『ハルクは自分専用の魔具を持っているから』って言ってたけど、どんな魔具を使うの?」


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