転生したら、実家が養鶏場から養コカトリス場にかわり、知らない牧場経営型乙女ゲームがはじまりました

空飛ぶひよこ

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ハルクイベント1

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 ……パックさんの予想通り、翌朝には眠りについたトレントの手から解放され、昨夜のことなんかなかったように普通に接してくるパックさんに何となく気まずい思いをしながら、無事に家に帰ったのだった。(どうやら眠らずに待ち構えていたラドには、めちゃくちゃ泣かれた)

「……あれ、パックさんのハートの色って、そういやオレンジだったっけ……?」

 ハートの色ってもしかして好感度じゃなくて、向ける感情の強さとか、そんな感じなんだろうか。
 ライバルとして、私の存在感が大きくなったから、色も変わるみたいな。……あれ?

「……りっか! かんがえごとしてないで、もっとなでなでして!」

「……あ、はい。ごめんよ」

「きょうは、ぼくのこといちばんにかんがえて!」

 私が一晩いなかったことですっかり子ども返りしてしまったラドを、だっこしながら頭を撫でて宥めていたら、浮かんだ微かな違和感はあっという間に忘れてしまった。



「もうまもなく収穫して良さそうだな。なかなかいい発育だ。……そうだな。二、三日後くらいにするか」

「……そうだね」

「おい、リッカ。……お前、先日から何だか様子がおかしいぞ。なんかあったのか?」

 成長したマンドラゴラの生育具合を嬉々として確かめていたハルクは、訝しげな表情で私を見た。

「……別二何デモナイヨ」

「嘘つけ。声が上擦ってるぞ。時期的には……パックとカエル獲りに行った辺りからか。トレントに捕まって一晩過ごしたいときいたが、お前、パックと何かあったのか」

 ……す、鋭い。
 でも言えない。
 パックさんがハルクにマジラブみたいなんだよ。なんてアウティングは絶対。

 言葉に詰まる私に、ハルクは複雑そうな表情を浮かべた後、ハッと馬鹿にするように片眉を吊り上げて笑った。

「何だ、何だ? あいつに告白でもされたのか? そんなことで動揺するなんて、やっぱりお前はガキだな」
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