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パックさん、まじパックさん

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 ……おお、さすが天然魔獣タラシ体質。
 不死鳥ちゃんの初恋泥棒までしてしまったのか。

「……で、パックさんは今みたいに冷静に首輪をはめたわけですね」

「当然でしょう? 見た目はいくら僕より大人に見えても、中身は子どものまんまなんだから。泣かれて大変だったけど」

 グラマラス美女姿の不死鳥ちゃんに迫られてなお、冷静に首輪はめられるパックさん、まじパックさん。動じないんだよなー、この人。

「とりあえず、この首輪をしてる限り過剰に魔力消費することはないから、人化姿も成長に伴って増加する魔力量に比例してゆっくり成長していくはずだよ。自分では取れないから、また同じように勝手に大人の姿になって体調を悪くすることはないんじゃないかな。子ども用の服も、後日精算の経費で買ったの何枚か持って来たから使ってよ」

「……ありがとうございます。パックさん。それを聞いてとても安心しました」

 個人的にも、大人バージョン人化ラドよりも、精神年齢相応の子ども人化ラドのが色々育てやすいから、とてもありがたい。主に裸とか裸とか裸とかで。
 深々と頭を下げる私に、パックさんは優しく笑みを浮かべた。

「気にしないで。これも僕の仕事の範疇だからさ。報酬はセルドア魔術師長からしっかりもらう予定だし」

 そう言ってパックさんは、いまだ不貞腐れたままのチビラドに向き直った。

「ほらほら。ラド君も機嫌なおして。体調は良くなったでしょ?」 

「……せっかく、おとなになれたのに……」

「大人って言うのは、なろうと思ってなるものじゃないよ。時間が過ぎるうちに、いつの間にか勝手になっているものだよ」  

 パックさんの大きな手が、くしゃりとラドの頭を撫でた。ラドは不服そうに顔をしかめたが、抵抗はしなかった。(多分、セルドアとかルートさんなら振り払うか、噛みつくかしてただろうなあ……)
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