転生したら、実家が養鶏場から養コカトリス場にかわり、知らない牧場経営型乙女ゲームがはじまりました

空飛ぶひよこ

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人化の秘密

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「…………もちろん、冗談ですよ。冗談。希少なドラゴン種に対して、王の許可もなしに私がそんなことするはずないでしょう?」

 ……嘘だ。目がマジだった。そして王の許可あれば、普通に去勢する気満々だ。
 「きょせい……?」って言葉の意味分からず首かしげながらも、不穏なものを感じたラドが私の背中に隠れながら(図体でっか過ぎて全然隠れきれていない)ぶるぶる震えているのが、何よりの証拠だ。

「……で。当然、いつでも戻れるんですよね?」

「え?」

 不機嫌そうに眉間に皺を寄せて魔術書を閉じたセルドアは、くいとモノクルを押し上げた。

「大人のドラゴンは、自分の好きなタイミングで自らの形態を選択することが可能であることが判明してます。他種族の形態模写はもちろん、自らのサイズすら自由に変えられるとか。まだ大人とは言い難い年齢とはいえ、人化したからには、当然元の姿に戻れるんでしょうね」

「…………そうなの? ラド」

 だとしたら、助かる……というか、別に無理に人型でいさせる必要なくなるんだけどな。生まれたばかりの頃くらいの大きさになれるなら、スペース的には全く問題ないし。
 振り返って期待を露わに見つめる私に、背後にいたラドは困ったように眉をハの字にした。

「……わかんない」

「え」

「きがつけば、このすがただったから」

 …………言われてみれば、それもそうだな。朝起きたら、無自覚にこの姿になってたわけだし。自分で自在に姿を変えられるかなんて、分からないか。

「……話になりませんね」

 ラドの返答にセルドアは深々とため息を吐くと、来たばかりだというのにそのまま私とラドから背を向けた。

「本当はいつも通り、リッカと昼食をご一緒したいところですが、急遽やらなければならないことができましたので今日は帰ります。私の本意ではなくても、ドラゴンの育成事業は国にとって重要な事業ですから」

「……あ、はい」

「いいですか。リッカ。今日はラドを家の中に閉じ込めて、極力体を動かさせないようにしてください。……まあ、そのうち嫌でも動けなくなるでしょうけど」

「え」
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