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静けさの下で
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ラドが人化したことに、一番大興奮するのはルートさんだろうけど、一番怒りだしそうなのは多分間違いなくセルドアだよね。
日に日に疑似シスコンを抉らせていくセルドアが、中身はお子様なままとはいえ、見た目は下手したら自分と同じくらいに見える人化ラドが私と一緒に一つ部屋の下で暮らすことを笑って受け入れるとはとても思えない。
……だから、正直昼にセルドアがやって来るのは正直とても気が重かったんだけど。
「……なるほど。これが、ルートが話していたドラゴンの人化姿ですか。髪の色等は多少特異ではありますが、どう見ても人間にしか見えませんね」
にこにこ笑ってラドを観察するセルドアの様子は、至って穏やかなもので。正直、拍子抜けした。
……あれ? 私、自意識過剰過ぎたかな。
でも、よくよく考えたら、ドラゴンの育成事業は国にとって一大プロジェクトだもんね。責任者であるセルドアは、ラドの成長を喜びこそしても普通怒ったりしないかー。
「--さて、お昼の時間も近いことですし、さっさと済ませてしまいましょうか」
そう言って、用意して来たらしい魔術書を何冊も取り出して机に置くセルドア。魔術書には、ところどころ、細長い紙が挟まれていてページが分かるようになっていた。
「……済ませるって何を?」
「決まっているでしょう?」
そう言って、紙が挟まれているページを開き私に突きつけるセルドア。
「何かあってからでは遅いですからね。こんな魔術を使うのははじめてですが、何としてでも成功させます。その為に急遽時間休を取って、ドラゴン相手でも大丈夫そうな魔法式を探して来たのだから」
突きつけられたページに書かれていたのは--【ペットを去勢する魔法】の文字。
「いやいやいやいや、それはだめでしょう! ドラゴンですよ、滅多に繁殖しない希少種ですから!!」
日に日に疑似シスコンを抉らせていくセルドアが、中身はお子様なままとはいえ、見た目は下手したら自分と同じくらいに見える人化ラドが私と一緒に一つ部屋の下で暮らすことを笑って受け入れるとはとても思えない。
……だから、正直昼にセルドアがやって来るのは正直とても気が重かったんだけど。
「……なるほど。これが、ルートが話していたドラゴンの人化姿ですか。髪の色等は多少特異ではありますが、どう見ても人間にしか見えませんね」
にこにこ笑ってラドを観察するセルドアの様子は、至って穏やかなもので。正直、拍子抜けした。
……あれ? 私、自意識過剰過ぎたかな。
でも、よくよく考えたら、ドラゴンの育成事業は国にとって一大プロジェクトだもんね。責任者であるセルドアは、ラドの成長を喜びこそしても普通怒ったりしないかー。
「--さて、お昼の時間も近いことですし、さっさと済ませてしまいましょうか」
そう言って、用意して来たらしい魔術書を何冊も取り出して机に置くセルドア。魔術書には、ところどころ、細長い紙が挟まれていてページが分かるようになっていた。
「……済ませるって何を?」
「決まっているでしょう?」
そう言って、紙が挟まれているページを開き私に突きつけるセルドア。
「何かあってからでは遅いですからね。こんな魔術を使うのははじめてですが、何としてでも成功させます。その為に急遽時間休を取って、ドラゴン相手でも大丈夫そうな魔法式を探して来たのだから」
突きつけられたページに書かれていたのは--【ペットを去勢する魔法】の文字。
「いやいやいやいや、それはだめでしょう! ドラゴンですよ、滅多に繁殖しない希少種ですから!!」
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