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忘れていたんだよ……何故忘れたし

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 高さは同じでもさ、やっぱりドラゴンと人間じゃ幅とか重さとか、その辺全然違うんだよね。羽とか、とっても幅とってるし。
 まあ、種族が違うというか、体の構造がそもそも違うんだから仕方ないか。

「……リッカ。良いのか。お前がそんなことを言ったら、恐らくは」

「? 何がですか」

「…………まあ、俺としてはドラゴンの様々な形態が見れるのは有難いから、特別何も言うことはないか」

 どこか歯切れの悪いルートさんに?を飛ばしながらも、まあ気にしなくて良いかと特別深く考えないことにした。



 そう。私はラドのドラゴン形態と過ごすうちに、うっかり忘れてたのだ。
 例の不穏なナレーションとか、ラドのお母さんの言葉とか、おかしな夢だとか。全部綺麗さっぱり、すこーんっと。
 ……改めて考えてみれば、自分でもよく忘れられたなと呆れるけど、忘れていたものは仕方ない。牧場ライフが楽し過ぎたんだ。うん。仕方ない仕方ない。

 覚えてたらさ、その後の展開なんて容易に想像できたのにね。



「………うん……? ………」

 翌朝。微かな違和感と共に深い眠りの底から浮かび上がった。
 全身に感じる締め付けは、最早慣れたもの。だけど、感じる温度や触感や苦しさが違う。
 
 ……いつもはヒンヤリ、つるつるしているのに、今日は妙に温かくて、触れる肌の感覚も違うくない? あと、いつもより重くない……わけでもないけど、これはこれで重いんだけど、なんか重心がかかる場所が違うというか。

「…………うん? ………あれ」

 ぱちりと目を開けると、まず真っ先に長い睫毛が目に入った。
 私の体をぎゅうぎゅうに抱き締めながら、眠る美形はどこかで見たことがある人で。

「え…………もしかしなくても、ラド?」

 その瞬間すっかり忘れていた諸々を思い出して、さあっと血の気が引いた。

 ……これ、やばくない? てか、なんかオレンジ色のハートまで見えるんだけど、きっと私まだ夢を見てるんだよね!!



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