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平和で、平凡な日々

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 あー、よかった。せっかく持って来たケーキをこれで無駄にしないで済む。
 パックさんのお土産の果物ゼリーも気になるし、今日の夕飯前にティータイム(特別会場編)はなかなか充実した内容になりそうだな。

「……おい、人の家で何勝手に盛り上がっているんだ。お前ら」

 うきうきとパックさんと共にお茶の準備に向かおうとした瞬間、ベッドから地を這うような声が。

「ああ、ハルク。起こしてごめんね。今、リッカちゃんと一緒に台所に行くからハルクはゆっくり寝てて」

「そうじゃないだろ、パック! ここは、オレの家! しかも、お前らが今から食べようとしてる菓子は、どっちもオレへの土産なんだろっ!? まず、真っ先にオレに食べさせろよ!!!」

「だってハルク、もう薬草飲んだんでしょ? だったらもう暫くは、何も食べない方がいいよ。……それに僕の果物ゼリーはともかく、リッカちゃんのケーキは病人向けじゃないからさ」
 
「そうだよ。また、作ってあげるからさ」

「うるさい、うるさい! オレの菓子はオレの物だ! つべこべ言わず、今すぐ両方オレに持って来い!」

 完全に子どものように駄々を捏ね出したハルクに、パックさんと二人で顔を見合わせながら、同時にため息をついたのだった。

 …………やっぱり、ハルクの精神年齢って、お子ちゃまだよねえ。



 それからは、比較的平和に日々は流れた。

 ルートさんは相変わらず、毎朝ラドにストーカーのように張り付いてるし。
 セルドアは昼になる度訪れては、一緒に昼食を食べては何かと世話を焼いて帰って行くし。
 体調が回復したハルクは、日々成長していくマンドラゴラを熱心に観察してはお菓子を食べて帰宅し。
 パックさんは夕方に様子を見に来てくれ、夕飯前のお茶か、たまに夕飯を一緒に食べて自分の牧場に戻る。
 どんどん大きくなっていくラドは、相変わらず私にべったりで。
 少しずつ牧場生活に馴染んでいってるトリスは、それでもなかなか私には懐いてくれない。

 平和で、大きな変化はない、平凡な毎日。
 平凡な、毎日ではあるんだけど……。

「……なぜハートの色は確実に変化してるんだ」
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