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ラドはお子様

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 セルドアは今回の事業の総責任者だし。パックさんはコカトリスをはじめとした家畜関係全般、ルートさんはラドのこと全般で関わらないわけにはいられないだろうし。
 唯一、ハルクだけは関わらないようにしようと思えば関わらないでいられそうだけど……まあ、多分避けたとしても向こうから勝手に関わってくるような気はするし。個人的には、ちょっと友達になりたいと思ってるから、自分から敢えて縁を切りたくはない。

「……ぐう……」

 ラドは私の言葉に、不満げに喉を鳴らした。
 ラドの瞳は、言葉はなくても雄弁に「それでも嫌なものは嫌だ!」と言っていて、ため息が漏れる。

「…………ラドは、まだまだお子ちゃまだなあ。生まれたばっかりだかろ仕方ないけど」

「っぴぃ!?」

「自分の嫌って気持ちを、ただただ人に押しつけようとしてるようじゃ、あかんのですよ。ラドくん。お互いを思いやる気持ちがなければ、共同生活はできません」

 ラドをさらに拗ねさせないように、指でぐりぐり頭の辺りを撫でてやりながら、苦笑いをする。

「こんな情緒発達の段階じゃ、やっぱり恋愛なんて、まだまだ先の話だねえ。君は」

 ラドの精神はまだまだ10歳程度の……いや、もっとちっちゃい子どもの状態なんだな、と改めて確信する。完全に、お母さんを取られたくない子どもの癇癪だもん。その事実に少しだけほっとする。

 ……やっぱりラドのお母さんが言ってた、番云々なんて、まだまだ先の話だよなあ。
 なんか、今朝変な夢を見たせいで、実はちょっとだけ焦ってたんだけど。未だハートの色が見えないのは、つまりはそういうことだよね。

「まあ、いいさ。ラド。頑張って『お母さん』はラドの情緒が正しい方向に成長するように、みちびてみせるから。今はまだ、お子様でいなさい」

「きゅー! きゅー!」

 撫でられた何かを訴えるような抗議の声をあげているが、残念ながら何を訴えたいかまではよくわからない。
 やはり、種族の壁は厚い。
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