上 下
180 / 336

大好きかよ

しおりを挟む
 そう言ってパックさんは、頬を掻きながら、どこかくすぐったそうにくしゃりと笑った。

「なんか……少し、嬉しいな。リッカちゃんがハルクに好意的な意見を言ってくれるとさ」

 ーーって、ハートの色おおおお!!!
 いいんだけど、別に構わないんだけど、ここで黄色になっちゃう!?

「……パックさん、ハルクのこと大好きかよ」

「え? なんか言った?」

「いーえ。なんでも」

 まあ、私も家族のこと褒めてくれる人がいたら好感度爆上がりするから、気持ちは分かるっちゃ分かるけど。……やっぱり、このハートの色、恋愛のそれとは違うくない? 普通に友好度とか、そういう奴じゃない?
 恋愛だったら、普通セルドアみたいに嫉妬する……いや、あれは偽兄妹愛か。また別の話か。何だか、よく分からんくなってきたぞ。

「これからも、ハルクのことよろしくね」

 そう言ってにこにこと上機嫌に帰っていったパックさん。……人間の感情ってつくづく奥が深いなあ。
 決めた。私はもう、多少ハートの色が変わったくらいでは、いちいち狼狽えん。定義が分からんこんなものを気にしてたら、身が持たない。

「……まあ、赤いハートは決定的みたいだけど、そうなった時はそうなった時だよね」

 赤いハート=結婚みたいなこと言ってた気もしなくないけど、今のとこ多分マックス感情がセルドアとパックさんの黄色だし。赤になるとは限らないし、とりあえず深く考えてんとこ。

「…………ところでラドさん。さっきから前が見えないんですが、いい加減顔に張りつくのやめてくれませんかね」

 パックさんが去るなり、顔面全体にべったりと張りついて離れないラドを、いい加減良いだろとばかりに引き離す。

「……きゅー……」

 引き離されたらラドは、恨みがましげな涙目でじっと体を見上げていた。

「……あのねえ。ラド。私は牧場を続けるにあたって、今日会った三人とハルクとは、多分嫌でも関わることになるんだから、いちいち拗ねられたら困るのよ」
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

初恋の人探します

恋愛 / 完結 24h.ポイント:191pt お気に入り:281

【完結】お荷物王女は婚約解消を願う

恋愛 / 完結 24h.ポイント:234pt お気に入り:2,089

【完結】冷遇された翡翠の令嬢は二度と貴方と婚約致しません!

恋愛 / 完結 24h.ポイント:2,037pt お気に入り:4,703

婚約破棄は受け入れますが、その溺愛は納得できません!

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:85pt お気に入り:538

処理中です...