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ちょっとわくわく

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 ……まあ、別に家でいる時なら、別にこだわる理由もないし、いいか。

「……その……セルドア?」

「っ」

 嬉しそうにぱあっと顔を輝かすセルドアを見た瞬間、なんだかすごく落ち着かない気持ちになった。

「……改めて、こうして呼び捨てで呼ぶとなると、結構これ恥ずかしいですね」

 心の中では一応ずっと呼んでたんだけどなー。いざ、こうしてセルドアの反応が返ってくるとわりとこれ恥ずかしい。
 照れ隠しで頬を掻いていると、セルドアが急に肩を掴んで来た。

「もう一度、呼んでください」

「…………だから、その……セルドア?」

「もう一度」



 結局その後、セルドアが満足するまで散々呼び捨てで呼ばされたあげく、「やっぱり呼び捨てはたまにの方が嬉しいので、普段は今まで通りにしてください。お兄様呼びも捨てがたいですし」などとほざかれたのだった。

 ……さっきまでの不毛な時間を返せ。結界を緩和してくれたのはありがたいけどさ!



「……よーし。シフォンケーキ完成。我ながら良い出来だわ」

 卵一個で、余裕で一ホール分賄えるから、コカトリスの卵は良いよね。経済的……というには普通の鶏よりも育てるのに手間もお金もかかるから、何とも言えないけどさ。

「ぽかぽか天気も良いし、家の中入れなくても全く問題ないな。これ」

 ピクニック用の敷き布出して、せっかくだからポットにお茶もいれてやるかー。いちおー、ほら。慰められたわけだし?

「さて、昨日とおとといはこれくらいの時間に来たけど、今日はハルクは何時くらいに来るんだろう?」

 マンドラゴラの生育は順調で、昨日よりさらに丈が伸び、もはや芽とは言えないくらいになっている。なかなか興味深い経過だとは思うんだけど、さてさてハルクはどんな反応見せることやら。

「……駄目だ。なんか、ちょっとわくわくしてる」

 家の仕事と勉強で忙しくて、『友達』を家に招く機会なんて、今世はもちろん前世でもなかなかなかったからなー。……まだ、ハルクは友達未満だけど。
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