転生したら、実家が養鶏場から養コカトリス場にかわり、知らない牧場経営型乙女ゲームがはじまりました

嫉妬しとしと

「……一体何がどうなってるんだろうねー。ラド。……ラド？」

　何だか偏頭痛がしてきたので、こめかみの辺りを押さえながら、傍らにいるラドに話かけるが、そこには絶賛ふて腐れ中のラドの姿が。
　……ルートさんに、ラドを渡したことを未だ怒ってるんだろうか。

「ラドさん、どうしたの？　ほらほら機嫌直してー」

　頭を撫でようとしたら、ルートさん程ではないけど機嫌悪そうに小さく唸られて、拒否された。……駄目だ。これ。しばらく機嫌直るまで放っておこ。

「……卵かけご飯を食べさせている時は、わりと普通だったんだけどなー」

　一体何がそんなにラドの逆鱗に触れたんだか。
　そんなことを考えながら、まだ済ませてなかったマンドラゴラの世話に移るべく、外に出る。
　人の気配を感知して、ざわざわ揺れてるマンドラゴラの芽(というか、昨日よりさらに伸びて最早葉？　いや茎？　成長早いな。またハルクを驚かせそう)に水をやりながら、ふと昨日見た夢のことを思い出した。

『だから、おねがい……ぼくを、えらんで』

「……まさか、ラド。ルートさんが私に結婚話を持ち出したことに拗ねてるわけじゃないよね？」

　いやいやいや、まさか。まさか。生まれてまだ二日目のラドさんが、結婚云々自体理解しているわけ……ないと断言しづらい所が、辛いな。あの種族。多分精神年齢10歳時くらいあるし。

　……いやいやいやいや、でもまだ嫉妬とかそういうのは早いでしょう。私が健全な方向に修正する隙0じゃないか。番認定一直線じゃないか。
　ないないない。あっても、育ての母を取られるかもしれないから嫉妬してるだけだって。

「…………何だか、思っている以上に面倒くさい方向に行っている気がする」

　空になったジョウロを手に、ため息を吐く。
　……お願いだから、だれか気のせいだって言ってくれ。