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まさかの事実

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 ……おっと、そうだ。パックさんは、私が養コカトリス場の娘って分かっていてなお、石になってないか毎日メッセージと、直接ここに来ることで確かめてる心配性さんだった。
 迂闊にマンドラゴラのことなんて、口に出すんじゃなかったぜ。

「……いやー、実はかくかくしかじかで、ハルクって人がお店の植物の種販売独占して、私にはマンドラゴラの種しか譲ってくれなかったわけで。まあ、不可抗力ですよ」

「かくかくしかじかって言葉の意味は理解できないけど、状況は理解したよ。……最近は宅配サービスで商品を購入してたから、店の状況を把握できてなかったけど、そんなことになってたのか」

 あら、宅配サービスなんてものあるのですね。セルドアの魔法に頼らなくても、簡単に商品手に入るならそっちのが良いんだけど、お得意様限定とか販売数一定じゃないと、駄目だったりするのかしら。

 明後日なことを考える私を余所に、パックさんはため息を吐いて腕組みをした。

「……分かった。明日の朝にでも、あいつを叱っておくよ。仮にも国所属の研究者が、個人の勝手な判断で個人の店の経営に口を出すなんてあってはならないことだからね。だから、リッカちゃんは今度からは安心して普通の植物を栽培してね」

 ……いや、私としては、普通の植物よりも凶暴なマンドラゴラを育てたいのですが……。
 というか、うん?

「パックさんとハルクって親しいのですか?」

「まあ、一応同じ年に国所属の職についた、同期だからね。って言っても、知り合った時期はそれよりもっと早いけど」

 い、意外……でも、ないのかな? 一応同じ一時産業に関わる国家公務員みたいなものだし、同じ町にいるわけだし。
 でも、同期と思うには見た目年齢が……ほらね? パックさんは、大人びてるし。

「たまたま当時、僕の実家の牧場がある町にハルクも滞在してたんだけどね。ハルクはああいう性格だからさ、当時は今以上に、町のあちこちで問題起こしてたんだよね。家出して帰る家もなくて、宿屋暮らしでぎりぎりの生活してたから、荒れた野良猫見てるみたいで放っておけなくてさ。ついつい世話を焼いちゃったわけ」

 まさか、あの見た目で僕より年上だとは思わなかったけどね、と言ってパックさんは苦笑いした。

 ……ま、まさかのハルクのが年上!?
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