転生したら、実家が養鶏場から養コカトリス場にかわり、知らない牧場経営型乙女ゲームがはじまりました

空飛ぶひよこ

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友達になれそう

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 私の事情なんか、何も知らないって言っているのに。実際それは間違いないだろうに。
 ハルクの言葉は、なんていうか真っ直ぐ的確に私の心に突き刺った。

 ……そりゃ、そうだよな。
 私とハルクじゃ、事情も家族との関係性も違う。
 ただ、全てを捨ててやりたいことを追う道が、必ずしも正しいわけじゃない。

 家族も、牧場経営の夢も、どっちも同じくらいに大切で。 
 ……もう二度と会えない前世の家族に、私がしたことが間違っていたとも思いたくなくて。

 どんな選択も、見方次第では間違っているように思えるし、正しいようにも思える。

 だから私は、今はセルドアに宣言した通りに牧場の仕事を一生懸命頑張って、その間ただ精一杯悩んでおこう。
 自分が納得できる答えを、選べる時まで。

 ……今すぐに、答えを出さなくても、とりあえずは問題はないわけだし。

「……ありがとう。ハルク」

「…………」

「……ハルクって、思っていたよりいい奴だね」

「………………おい、お前。さっきまでの敬語と敬称はどこ行った」

 眉間にくっきり皺を刻んだハルクに、自然と微笑みかけていた。

「私、ハルクのこと、結構好きかも」

 第一印象がセルドア以上に最悪だっただけに、好感度が一気に上がった。
 最初嫌な奴だと思ったし、面倒くさいし、正直関わりたくなかったけど……なんか、今なら私、普通にハルクと友達になれそうな気がする。
 論文、結構面白かったしね。基本的にえらそうでいけ好かない部分はあるけど……もうそれはハルクの癖なんだと思えば、なんか割り切れそう。

「……ハルク。あのさ、よかったら、私と」

 友達になって、と続けようと思った言葉は、かぶせられたハルクの大声によってかき消された。

「ーーガ、ガキが考えなしにませた口をきくな!!! 馬鹿!!!」
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