転生したら、実家が養鶏場から養コカトリス場にかわり、知らない牧場経営型乙女ゲームがはじまりました

チャーハン吐きそうなった

　私の頭を慈しむように撫でながら、セルドアは小さく嘆息する。

「……リッカが本当に、私の妹だったら良かったのに」

「…………」

「実は秘かにその可能性あったりしません？　お父さんお母さんが秘密にしているだけで、実は幼い頃に魔術師協会に預けた兄がいたとか」

「……いや、うちは働き手として男の子大歓迎な家ですから。魔力が高いと請われたからと言って、跡取り息子は手放さないと思います」

　体力と力が武器の、養コカトリス場だからね。姉さんに叱られて言わなくなったけど、父さんは昔よく「リッカが男の子だったらな……」ってぼやいてたからね。
　……てか、今世も前世も私が男に生まれてたら、全て丸く収まってたんじゃ……いや、前世兄ちゃんは、私が弟だったとしても同じことしてそうだな。「俺は兄ちゃんなんだから」って。

　……うん。深く考えるのはやめておこう。私が前世も今世も女である以上、不毛だ。

「……それは、残念です。もしリッカが生き別れの妹だったら、今すぐにでも家族になれたのに」

「……は、はあ。そ、そうですね。残念？です」

「それじゃあ、やっぱりリッカと家族になる方法は結婚しかありませんね」

「ーーごふっ！」

　……チャ、チャーハンが。胃の中に綺麗に収まっていたチャーハンが、むせた勢いで喉元までせり上がって来た……！
　私は吐かん。吐いて、摂取した栄養をなかったことにはしないぞ……！

「まあ、結婚に至るまでは長期戦になりそうですから、とりあえず今は私のできることをするしかないですね。コカトリスを放牧させる魔法でしたっけ？　明日までに考えておきますね」

「そ、それは大変ありがたいのですが……なんで、結婚とかそういう話に……？」

「だって、私は、家族を知りませんから」