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親ドラゴンとの対峙

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 途端にルートさんの顔が、むっとしたように険しくなった。


「セルドア……お前、ドラゴンのことを馬鹿にしているのか?」

「いいえ。生物の生存戦略は種によってそれぞれですから。卵の時点ではなるように任せて、孵化した時点でようやく親の役割を果たす。そういう種が存在すること自体は、理解できます。共感はしにくいですか。……私が馬鹿にしているとしたら、ドラゴンにというよりも、人目もはばかることなく泣いている貴方に対してですよ」

「そうか。なら、いい」

 ……いいんだ。
 さすがドラゴン史上主義のルートさん。
 同じ人間から、馬鹿にされたくらいじゃ、動じないか。
 
「ピィ。ピィ」

 親との邂逅を果たしたラドが、機嫌良さそうに私のもとに戻って来た。

「おかえり。ラド。両親とは話せた? ……うわっ」

 戻ってくるなり、すぐに背中に回り込んで鼻先で思い切り押してくるものだから、思わず前につんのめった。

「ど、どうしたの? ラド?」

 再び前に戻ってきたラドは私の顔をじっと見つめながら、私の腕に尻尾を巻きつけて引っ張った。

「……着いて来いって?」

「ピィ!」

 ……これはもしかしなくても、ラドが私を親ドラゴンに紹介&親ドラゴンを私に紹介するってことでは無いでしょうか。
 いいけどさ。無防備にあのでっかいドラゴンの近くに行くのは、さすがの私も多少の勇気がいるんだけど。凶暴な生き物は好きだけど、近づくならある程度事前対策は必要だよな。
 ラドの育て役に相応しくないと判断されて、ばくりといっちゃったらどうするのさ。

「ピィ! ピィ!」

「はいはい。わかった。わかった。……ルートさん、私、親ドラゴンに近づいても大丈夫ですか?」

 私がラドに手を引かれるのを羨ましそうにみてたルートさんだが、私の問いかけに小さく眉を寄せた。

「子ドラゴンが着いているなら、よほど大丈夫だと思うが……親ドラゴンは人の好き嫌いが激しいからな。安全の保障はできない」

 ……ですよねー。
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