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ほーだーさーれーろ

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 前世で本音を伝えられなかったからこそ、今世でこそと考えるべきなのかもしれない。
 でも、そんな風にはとても割り切れない。
 
 兄ちゃんには……ちょっと不本意で腹は立つけど、ちゃんと私の為にできることをしてやれたって信じててほしい。
 不慮の事故で死んじゃったけど……それでも兄ちゃんのおかげで私の未来は拓けていたんだって。私は兄ちゃんに感謝して、幸せだったんだって勘違いしててほしい。

 姉さんだって、同じだ。……もし、真実を伝えた後に分かりあえないまま、また私が不慮の事故で死んじゃう可能性だって0じゃないんだ。
 
 姉さんがハミルさんと共に養コカトリス場を継いでくれて、父さんや母さんも喜んでいる。私の為に一番良いことをしたって信じてる。
 私は私で、一人牧場ライフを満喫してる。

 みんな、幸せなんだ。何も言わない方が、みんな心から幸せなんだ。
 ……それなのに、どうしてわざわざと本当のことを告げて、家族を傷つけないといけないんだろう。

「………言わないで。ハミル義兄さん。……どうか、お願いします」

 敢えて縋るように、涙目のまま弱々しく告げてみる。

 ……この際、多少あざといと思われても構わん。
 ハミルさんは、どうも私に庇護欲抱いてるっぽいから、こうなったらとことんか弱い妹キャラ演じてやるさ。

「……リッカちゃん」

 案の定狼狽えたハミルさんを、だめ押しでじっと見つめる。

 ……ほーだされーろー。絆されてくーれー。
 たーのーむーかーらー……!

「……分かったよ。リッカちゃん。私からは、言わないよ」

 ……よっしゃあ! 言質とったどおおお!

 内心ガッツポーズをとる私に、ハミルさんは不穏な言葉を続けた。

「……でも。私が言わなくても、いつか皆が真実を知る時がくるかもしれないよ? その時は、君はどうするつもりだい」


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