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本当の気持ち
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「…………」
まるで私の気持ちを見透かしたかのようなハミルさんの言葉に、唇を噛んだ。
……もう、すでに知られてしまっているのだろうか。
セルドアがあれだけ言ったから、だいたいはもう察しているのだろう。
「……きゅー」
「……慰めてくれてるの? 大丈夫だよ。ラド。ありがとう」
私を心配するように、頬にすり寄るラドの頭を一撫でして、ハミルさんと向き直る。
「…………ハミルさん。どうか、家族にはラドやコカトリスを牧場で育ててることを言わないでくれますか」
「……どうして」
「心配を掛けたくないし……傷つけたくも、ないんです」
ハミルさんは、私とラドを交互に見た後、ひどく苦しげに顔を歪めた。
「……リッカちゃん。君にとって、私の存在は邪魔だったんだろうか」
「…………」
「セレーヌは、君が牧場に縛られることに胸を痛めていたし、私自身、君のような小さくて可愛らしい女の子が危険なコカトリスの世話をするだなんてあってはならないことだと思っていた。だけど、本当は君は……」
「ーー好き、なんです。コカトリスのことも、牧場のお仕事も、全部。だからこそ、こっそり牧場関連のお仕事を探しに行って、セルドア様にこの仕事を斡旋してもらったんです」
「っ……」
一層苦々しげな表情を浮かべて唇を噛むハミルさんに、胸が痛んだ。
……ハミルさんが、良かれと思ってしたことは分かっている。こんな表情をさせたいわけじゃなかった。
罪悪感を抱く一方で、こんな顔をさせているのが、姉さんや父さん母さんじゃなくてよかったと思う自分がいるのもまた事実だった。
「……どうして。どうして、言ってくれなかったんだ。言ってくれれば、私達も……!」
「だって……姉さんがすごくすごく幸せそうだったんです。……やっとリッカに苦労させないで済むって。そう言われたら、本当のことなんて言えません」
まるで私の気持ちを見透かしたかのようなハミルさんの言葉に、唇を噛んだ。
……もう、すでに知られてしまっているのだろうか。
セルドアがあれだけ言ったから、だいたいはもう察しているのだろう。
「……きゅー」
「……慰めてくれてるの? 大丈夫だよ。ラド。ありがとう」
私を心配するように、頬にすり寄るラドの頭を一撫でして、ハミルさんと向き直る。
「…………ハミルさん。どうか、家族にはラドやコカトリスを牧場で育ててることを言わないでくれますか」
「……どうして」
「心配を掛けたくないし……傷つけたくも、ないんです」
ハミルさんは、私とラドを交互に見た後、ひどく苦しげに顔を歪めた。
「……リッカちゃん。君にとって、私の存在は邪魔だったんだろうか」
「…………」
「セレーヌは、君が牧場に縛られることに胸を痛めていたし、私自身、君のような小さくて可愛らしい女の子が危険なコカトリスの世話をするだなんてあってはならないことだと思っていた。だけど、本当は君は……」
「ーー好き、なんです。コカトリスのことも、牧場のお仕事も、全部。だからこそ、こっそり牧場関連のお仕事を探しに行って、セルドア様にこの仕事を斡旋してもらったんです」
「っ……」
一層苦々しげな表情を浮かべて唇を噛むハミルさんに、胸が痛んだ。
……ハミルさんが、良かれと思ってしたことは分かっている。こんな表情をさせたいわけじゃなかった。
罪悪感を抱く一方で、こんな顔をさせているのが、姉さんや父さん母さんじゃなくてよかったと思う自分がいるのもまた事実だった。
「……どうして。どうして、言ってくれなかったんだ。言ってくれれば、私達も……!」
「だって……姉さんがすごくすごく幸せそうだったんです。……やっとリッカに苦労させないで済むって。そう言われたら、本当のことなんて言えません」
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