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ハミルさんvsラド
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「……リッカちゃんを、ね。守ろうとしているんだよ。さっきからずっと、私のことを威嚇しているもの」
ハミルさんは苦笑いをしながら、荒々しい瞳を向けるラドを見た。
「親ドラゴンには、特別何もしなくても好かれたから、きっと孵化したドラゴンも同様かと思っていたけど、やっぱり個体差はあるんだな。初対面からこんなに嫌われるとは思わなかったよ。よっぽど彼はリッカちゃんのことが好きなんだな」
戯れのように伸ばされたハミルさんの手を、すぐさまラドが噛もうとした瞬間、ハミルさんは引っ込めた。
それを何回か繰り返しているうちに、うっかり楽しくなったのか、尻尾を降りはじめたラドだったが、小さくハミルさんが笑ったことで我に返り、再び威嚇の唸りを発しはじめていた。
……いくらラドが幼体とはいえ、一瞬で手玉に取るハミルさん、すごいな。
さすが、コカトリスを闘気で従えた男。
「……そういえば、ハミルさん。以前、嘘をつきましたね。騎士の時の仕事は、魔物の討伐だって言っていたじゃないですか」
私の言葉に、ハミルさんは少し傷ついたように、眉をへの字にした。
「……お義兄さんとは、呼んでくれないのかい?」
…………いや、今の状況的に、そんなこと突っ込まないで質問に答えてほしいのですが。
非常に、どうでもいい。
「……お義兄さん、どういうことですか」
「嘘はついてないよ。私の仕事の主はあくまで魔物討伐。ドラゴンの世話は、たまたまドラゴンに気に入られたこともあって、兼任してただけだよ」
ハミルさんは、再び指でちろちろラドを誘いながら、溜息を吐く。
「ドラゴンは、国にとって最重要の生物だからね。世話に携わっていることは、家族といえども話すわけにはいかないんだ。誓約書も書いた上で退職したしね」
「…………それじゃあ、私が本当の業務内容を言えなかったわけも、おわかりでしょう」
「本当にそれが理由ならね」
ハミルさんは苦笑いをしながら、荒々しい瞳を向けるラドを見た。
「親ドラゴンには、特別何もしなくても好かれたから、きっと孵化したドラゴンも同様かと思っていたけど、やっぱり個体差はあるんだな。初対面からこんなに嫌われるとは思わなかったよ。よっぽど彼はリッカちゃんのことが好きなんだな」
戯れのように伸ばされたハミルさんの手を、すぐさまラドが噛もうとした瞬間、ハミルさんは引っ込めた。
それを何回か繰り返しているうちに、うっかり楽しくなったのか、尻尾を降りはじめたラドだったが、小さくハミルさんが笑ったことで我に返り、再び威嚇の唸りを発しはじめていた。
……いくらラドが幼体とはいえ、一瞬で手玉に取るハミルさん、すごいな。
さすが、コカトリスを闘気で従えた男。
「……そういえば、ハミルさん。以前、嘘をつきましたね。騎士の時の仕事は、魔物の討伐だって言っていたじゃないですか」
私の言葉に、ハミルさんは少し傷ついたように、眉をへの字にした。
「……お義兄さんとは、呼んでくれないのかい?」
…………いや、今の状況的に、そんなこと突っ込まないで質問に答えてほしいのですが。
非常に、どうでもいい。
「……お義兄さん、どういうことですか」
「嘘はついてないよ。私の仕事の主はあくまで魔物討伐。ドラゴンの世話は、たまたまドラゴンに気に入られたこともあって、兼任してただけだよ」
ハミルさんは、再び指でちろちろラドを誘いながら、溜息を吐く。
「ドラゴンは、国にとって最重要の生物だからね。世話に携わっていることは、家族といえども話すわけにはいかないんだ。誓約書も書いた上で退職したしね」
「…………それじゃあ、私が本当の業務内容を言えなかったわけも、おわかりでしょう」
「本当にそれが理由ならね」
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