転生したら、実家が養鶏場から養コカトリス場にかわり、知らない牧場経営型乙女ゲームがはじまりました

空飛ぶひよこ

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まさかの才能

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「う……うお。めちゃくちゃ高そうな服」

 セルドアから渡された袋から出現した服に、口元が引きつる。
 こんなの、物語の中の世界の服だと思ってたよ……。私のようなド庶民に似合うはずないのに。


「……ラドも、こんなの私に似合わないと思うよねー」

「ふきゅー」

 ……そこはしっかり首を横に振るのね。生まれたばかりのドラゴンの美的感覚ってどうなってるんだろ。

「……腕、どこを通せば良いんだ。ここか? ……うわ、今なんかびりっと言った気がする」

 慣れない構造に悪戦苦闘しながらも、とりあえず服を着ることには成功した。

 鏡を覗き込んでみても、「まあ、これが私……!?」なんてことはなく、見慣れた顔が豪奢なドレスの上に不自然にくっついてるだけだ。
 なんだかラドは嬉しそうに、私の回り飛び回ってるけど。

 ……こういうの、髪型とかメイクとかも会わせないと意味ないんじゃないかなー。

「……セルドア様。一応着ましたが……」

 服を着た私が出てくるなり、セルドアはぱあっと顔を明るくした。

「……ああ、よかった! ぴったりですね。よく似合ってます」

 ……いや、贔屓目にも程があるんじゃないかな。
 サイズは確かにぴったりだけど。

「それじゃあ、仕上げは私がしますね」

 …………って。え。

「…………セルドア様。その大量のメイク道具は一体どこから……」

「魔法で収納してましたから」

「というかセルドア様……メイクとかできるんですか?」

 思わず、後ずさりしてしまう。
 ……魔法でぱあっと施すとかならともかく、セルドアの手による人力直々のメイク。
 魔術師とメイクが、まず結びつかないんですが。

「大丈夫です。安心して私に身を任せてください」

 ……安心できねぇーーっ!



 ……………と、思っていたのに。

「……お、お上手ですね。セルドア様」
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