上 下
101 / 336

脅しと本音

しおりを挟む
「なんなら、私が魔法を使って直々に調ky……躾てあげましょう。せいぜい良い子になるように教育してあげますよ」

「ぴぎゃあ! ぴぎゃあ!」

 黒オーラ全開でラドに微笑みかけるセルドアと、脅えたように鳴き暴れるラド。

 ……うーん。セルドア。なかなか、大人げない。

「……セルドア様。本気でそんなことする気ないのに、あまりラド脅かすのやめてあげてください。そろそろ本気で敵認定されますよ」

 ため息まじりで告げた私の言葉に、セルドアは小さく眉を寄せた。

「……何故、本気でないと思うのですか」

「何故も何も、普通に考えてセルドア様がそんなことするはずないですもの。……下手したら、親ドラゴンも敵に回すようなこと」

 ドラゴンは、自分が産んだ卵に対しては、確かにあまり関心を持っていないかもしれない。
 ……だからと言って、生まれた子どもにも同様に無関心だとは、必ずしも言いきれない。

 ラドのことで分かったように、ドラゴンは卵の段階から高い知性を持ち、自らの意志で孵化するかどうかを選べる。故に、卵の段階では親ドラゴンが面倒をみる必要はない。
 だが、卵から孵ったばかりの幼体に対してはどうなのだろうか? 
 それに面倒をみないからといって、そこに愛情がないとは限らない。下手にラドを粗雑に扱えば、親ドラゴンが怒り、契約を破棄して暴れる可能性もある。
 ドラゴンの生態が分かっていない今の段階では、軽はずみな行動はできないのだ。

「まあ、城に連れて行くこと自体は反対はしませんけどね。王への報告に加えて、ラドの両親にも生まれたラドを見せておいた方が良いと思いますし。セルドア様も、そのおつもりで来たのでしょう?」

「……子ドラゴンが気にしないのなら、ルートに全部任せたいと思っているのも事実ですが」

「気にしないのは、無理そうですね。……セルドア様。ちょっと手を離してあげて下さい」

しおりを挟む
1 / 4

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

好きでした、婚約破棄を受け入れます

恋愛 / 完結 24h.ポイント:319pt お気に入り:2,249

【完結】イアンとオリエの恋   ずっと貴方が好きでした。 

恋愛 / 完結 24h.ポイント:468pt お気に入り:1,213

黒ギャル聖女、世界を救う!

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:28pt お気に入り:38

異世界大使館はじめます

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:12

悪役令嬢様。ヒロインなんかしたくないので暗躍します

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:1,023pt お気に入り:36

処理中です...