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ルートさんはぶれない

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 ルートさんにとって、異性<<<【越えられ無い壁】<<<ドラゴン、なんだな。
 うん、まあ知ってたけど。

「……ああ、そういえばセルドア様にラドが生まれたこと連絡しようとしたら、通信機器が繋がらなかったのですが。ルートさん、城に出仕する時にもし会えたら伝えておいてくれますか?」

 できるだけ早い方が良いかもしれないと、朝も朝で通信をしてみたけど、やっぱり繋がらなかった。
 私の言葉に、ルートさんは怪訝そうに眉をひそめた。

「言うのは構わないが、通信機器が繋がらないのはおかしいな。ドラゴンの卵の孵化と育成は、国の未来に関わる重要事業だ。リッカの通信を、今のセルドアは第一に考えているはずなのだが……」

 ……そんなことを言われても、繋がらないものは繋がらないのだもの。
 私に言われても、どうしようもない。

「……もしかして、体調を壊されているとか?」

「あいつは治癒魔法も精通しているから、よほど重傷を負わない限り、それは無いとは思うがな。……まあ、なんにせよ、出仕したら会いに行ってみよう」

 ……セルドアの身に、大変なことが起こってなければ良いけど。
 ちょっと心配だ。

「そういえば、ルートさんとセルドア様って、親しいのですか? 呼び捨てで呼んでらっしゃるみたいですが」

「友と言うほど親しくはないが、そもそも氷の魔術師長と呼ばれるほど人嫌いのあいつに、積極的に関わろうとするもの自体少ないからな」

「……ルートさんは、関わるんですね」

「あいつが、ドラゴン事業の責任者に任命されているからな。当然、関わるだろう」

 あ……うん。ドラゴンに関わることに、ルートさんが遠慮するはずがないよね。セルドアが人嫌いとか関係ないよね。
 本当ぶれないな、この人。

「まあ、俺がドラゴンの卵の孵化を知ってなお、責任者に報告しないのは、同じ事業に関わる身としてそれだけで職務怠慢だからな。城に到着次第報告に行くと約束しよう」
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