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パックさんは腹黒

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 うーん……なかなか腹黒い。でも一理あるって言えばあるかな。

「パックさんは、本当に農業が大好きなんですねー……」

 思わずしみじみと呟くと、パックさんはおかしそうに笑った。

「リッカちゃんは、本当に面白いなあ。そこは、『私を利用する気だったんですか!』って怒る所じゃないのかい?」

「私も同じ農業系女子として、パックさんの気持ちは分からなくもないですし。そもそも私、何も損してませんから」

 断られる可能性はもちろんあるけど、言うだけならタダだ。しかも、相手はセルドア。言いやすいこの上ない。
 放牧を管理できる魔法か、体系が確立されて広まればとても便利だし。魔法を使える人はわずかでも、魔法体系さえ確率されれば、魔法具に応用して普及しやすいだろうし。

「リッカちゃんは、本当気持ちいいくらい割り切りがいいねー……ちょっとそれはそれでさみしい気もするけど」

 苦笑するパックさん。
 ……いやいや、パックさんから仕掛けといて、さみしいも何もないでしょうが。

「何で、それでさみしいってなるんですか?」

「いや、だって、これじゃあリッカちゃん元々僕のこと信用してなかったみたいじゃないか」

「? え、私、パックさんのこと、信用してますけど」

 何で、そこで信用云々の話になるのか、理解できんぞ。

「パックさんは私と同じ、農業や家畜大好きな同志として、心から信用してますよ。多少腹黒いとこはあっても、私を傷つけるようなことはしない優しい人だと思ってますし」

 パックさんが腹黒い部分があることは否定しないけど、それが悪いとはちっとも思わない。
 だってパックさんの腹黒さは、誰かを害する為のものじゃなく、農業の発展の為に発揮されているものだし。この人はただただ農業、特に畜産業を愛してて、その結果色々駆け引きを身につけるようになったと思ってるし。

 ……牧場も、商売だからね。綺麗事だけではやってけないのよ。やっぱり。頭使って駆け引きしなきゃ。

 
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