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クッキー大好きハルクさん

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 ……自分の対応を省みた方が良いんでないかなあ。
 こんなこと言ったら逆ギレして来そうだから、言わないけどね!

「……とりあえず、結界の件は次にセルドア様に会った時に伝えておくので、今日はこれでお引き取り下さい」

 これ以上ぎゃあぎゃあわめかれても困るので、ハルクが何か反論する前に結界から手を突き出すようにして、クッキーの袋を押しつけて、慌てて手を引っこめる。
 ……手を掴まれたら、最悪私までこの場に取り残されることになるからな。

 絶対にハルクを通さない結界vs絶対に私の手を離さないハルクなら、どうやってもハルクが負ける未来しかあり得ないけれど、無駄にそれに付き合わされる方はたまったもんじゃない。

「……これは……」

「クッキーです。コカトリスの卵を使った」

 そう言った瞬間、ハルクの頬が赤く染まった。

「っチビガキ。お前が作ったのか」

「はい。まあ」

「高級菓子を食い慣れているオレに、手作りクッキーを渡すとは良い度胸だな」

 ……あ、見かけまんまのクソチビガキだから、お菓子で宥められるかと思って、余ったクッキー持って来たけど、後悔。
 お前なんかに、食わせんわ。やっぱり返せ、この野郎。

「……ふん。飾り気のない、地味なクッキーだな。田舎臭いお前に似合いだ」

 失礼なことを言い募りながら、袋をまさぐりクッキーを取り出すハルク。
 そして、一口かじって、パアと顔を輝かせた。

「……ふん………味も……(もぐもぐ)……飾り気なく、田舎臭いが……(もぐもぐ)……悪くはないな……」

 ……言葉と、顔と行動があってないよ。ハルクさん。
 めっちゃ良い笑顔で、食べまくってるじゃん。
 
 ……なんか、こんなに美味そうに食べられたら、腹を立てるのも馬鹿らしくなってくるわー。

「……お茶、いれてきましょうか」

「……よこせ!」

「へいへい」
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