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コカトリスがやって来たぞ!

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「おはよう。リッカちゃん。コカトリス、連れて来たよー」

 パックさんが、コカトリスを連れてやって来たのは、ルートさんとセルドアが王宮に戻った少し後のことだった。

「ごめんねー。朝早くに、来ちゃって。ちょうどこの時間が仕事が一段落するからさ。昼過ぎのがよかった?」

「……いえ、全然早くないですよ。お気になさらず」

「? なら、よかったけど」

 時刻は、現在朝の9時。
 一般的には早い時間かもしれないけど、日の出と共にマンドラゴラを植えて、ルートさんやセルドアをあしらっていた身としては全くノープログレムな時間だ。
 ……というかこの時間に来て謝罪する辺り、パックさんも気遣いの人だよなあ。家畜の世話をしているんだから、自分だって日の出と共に起きてるだろうに。

「それにしても、パックさん。……あの凶暴なコカトリスを目隠しだけして連れて来られるなんて、すごいですね。どんな魔法使ってるんですか」

 通常なら暴れまくって嫌がる目隠しをされていてなお、大人しくルートさんに引かれるがままについて来ているコカトリスの姿に、正直びびっている。

 生きたコカトリスの搬送は、失神させた末に、魔力除去機能付きの密閉させた台車で運ぶのが通例なのに、一体どうやったら、こんなことできるんだ?

 脱走されたあげく、目隠し外して近隣住民石化させまくる可能性とか、考えなかったのか。

 私の言葉に、パックさんは苦笑いをしながら、コカトリスの首もと辺りを撫であげた。

「まあ、この子は雌で、うちで飼っているコカトリスの中でも一番大人しい子だから。……あとは、まあ。体質かな」

 ちょ……コカ、トリスが……あのけして人慣れせず、恐怖で支配するしかないと言われてる、コカトリスが……パックさんに頭をすり寄せているだと!? 
 尾っぽの蛇は、頭すり寄せようとして届かず、悔しがってるし!

「僕、動物全般に異常に好かれて懐かれる体質なんだ。……さすがに、ドラゴンまでは、てなづけられなかったけどね。コカトリスや、グリフィンくらいなら、すぐに従ってくれるよ」
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