転生したら、実家が養鶏場から養コカトリス場にかわり、知らない牧場経営型乙女ゲームがはじまりました

空飛ぶひよこ

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セルドアの暗躍

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 不意に背後から聞こえて来た声に、思わず体が跳ねた。

「まあ、愛情が暑苦しくて鬱陶しいルートと、可愛いリッカを較べたら、ドラゴンでなくても大抵の人間はリッカを選びますけどね」

 ーーセ、セルドア。いつの間に、ここに?

「おはようございます。リッカ。結界を通じて、ルートが早朝からご迷惑を掛けている気配を察知したので、回収に来ましたよ」

 ため息混じりに、モノクルを押し上げるセルドアを、ルートさんは不満そうに見つめた。

「………迷惑なんか、掛けてないぞ。俺はただ、いつものようにドラゴンの卵と触れ合っていただけだ」

「早朝から、勝手に人の敷地に入ったいる時点で、迷惑だってことをもっと自覚してください。ーーだいたい貴方、昨日リッカに何て言ってました?『一日一回』『仕事の後』に、ドラゴンの卵と交流させて欲しいと懇願していたましたよね? それなのに何故、今、貴方はここに来ているのです?」

 ……おお、言われてみれば確かにそうだった!
 ルートさんが、さも当たり前のようにいたものだから、すっかり忘れていたよ。

 ルートさんは、セルドアの言葉にばつが悪そうに視線を逸らした。

「……確かにそうは言ったがな。……後出しで、夜は許可された人物でも結界の中に入れないように設定したのは、セルドア、お前だろう。そんな風に制限されたら、仕事終わりだと、ドラゴンの卵と思う存分触れ合えないじゃないか」

 ……あら。セルドア。私の知らない所で、そんな細かい設定まで結界に掛けていたの。
 夜中押しかけられたら、もっと不気味だからありがたいっちゃありがたいけど。

「リッカの安全を考えたら、当然の配慮でしょう? 年頃の娘さんが、独り暮らしを始めたんですよ。夜中に訪れた貴方が、変な気を起こさない保障はない」

「不要な心配だ。……俺は、ドラゴンにしか興味はない」

「今は、そうかもしれませんけどね。今は」

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