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渡された種は
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種をみて、セルドアはひどく険しい表情でハルクを睨みつけた。
「それ……もしかしなくても、マンドラゴラの種では?」
「マンドラゴラ?」
なんか、どっかで聞いたことある名前だなー、と思った途端、ハルクが勝ち誇ったように笑った。
「ーーああ、そうだ! マンドラゴラだ! 世界で初めて、このオレが人工栽培に成功した、あらゆる傷病に効く、貴重な万能薬の種だぞ? 感謝して受け取れ」
「貴方、一体何を考えてらっしゃるんですか!? 確かに、マンドラゴラは万能薬になりうる、貴重で高価な植物です。ーーその分、栽培の危険性はコカトリス以上だ! うっかり泣き声を聞けば、死んでしまうんですよ!」
……ああ、そうだ思い出した。
前世でみた、なんかの漫画で見たなー。マンドラゴラ。
人型の大根……いや、朝鮮人参? みたいな見た目してて、抜く時にその根っこの部分が叫ぶ声聞いちゃったら死ぬみたいなファンタジー植物。
この世界には実在したんだなー。
「安心しろ。オレが品種改良した結果、叫び声の致死性を取り除くことには成功した。うっかり叫び声を聞いてしまっても、ただただ死ぬほど苦しくて辛い想いをするだけだ」
「全然安心できないじゃないですか! 貴方リッカに何て危ないものを渡そうとしてるんですか!?」
「危ない? コカトリスの世話をしていたうえに、あんな暴言を吐けるような野蛮で生意気なクソチビガキなら、それくらいの危険上等だろう! 何せ、出荷額は他のどれよりも、ずっと良い値段がつく高級作物だからなああぁ」
憤るセルドアに、ハルクは勝ち誇ったように高笑いをした。
「さあ、クソチビガキ! できるもんなら、このマンドラゴラの種を育てあげて、収穫した根を出荷してみろ! それができたあかつきには、オレはお前に土下座でも何でもして、他の植物の種も好きなだけ譲ってやるよ!」
「……あ、はい。じゃあ、頂いていきますね」
「…………………は?」
……おい、ハルク。何で驚いてんだよ。
コカトリス育てられるくらい、野蛮だって言ったばかりなのに。
「それ……もしかしなくても、マンドラゴラの種では?」
「マンドラゴラ?」
なんか、どっかで聞いたことある名前だなー、と思った途端、ハルクが勝ち誇ったように笑った。
「ーーああ、そうだ! マンドラゴラだ! 世界で初めて、このオレが人工栽培に成功した、あらゆる傷病に効く、貴重な万能薬の種だぞ? 感謝して受け取れ」
「貴方、一体何を考えてらっしゃるんですか!? 確かに、マンドラゴラは万能薬になりうる、貴重で高価な植物です。ーーその分、栽培の危険性はコカトリス以上だ! うっかり泣き声を聞けば、死んでしまうんですよ!」
……ああ、そうだ思い出した。
前世でみた、なんかの漫画で見たなー。マンドラゴラ。
人型の大根……いや、朝鮮人参? みたいな見た目してて、抜く時にその根っこの部分が叫ぶ声聞いちゃったら死ぬみたいなファンタジー植物。
この世界には実在したんだなー。
「安心しろ。オレが品種改良した結果、叫び声の致死性を取り除くことには成功した。うっかり叫び声を聞いてしまっても、ただただ死ぬほど苦しくて辛い想いをするだけだ」
「全然安心できないじゃないですか! 貴方リッカに何て危ないものを渡そうとしてるんですか!?」
「危ない? コカトリスの世話をしていたうえに、あんな暴言を吐けるような野蛮で生意気なクソチビガキなら、それくらいの危険上等だろう! 何せ、出荷額は他のどれよりも、ずっと良い値段がつく高級作物だからなああぁ」
憤るセルドアに、ハルクは勝ち誇ったように高笑いをした。
「さあ、クソチビガキ! できるもんなら、このマンドラゴラの種を育てあげて、収穫した根を出荷してみろ! それができたあかつきには、オレはお前に土下座でも何でもして、他の植物の種も好きなだけ譲ってやるよ!」
「……あ、はい。じゃあ、頂いていきますね」
「…………………は?」
……おい、ハルク。何で驚いてんだよ。
コカトリス育てられるくらい、野蛮だって言ったばかりなのに。
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