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ルートさんはドラゴン馬鹿
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「……それじゃあ、卵について説明しよう」
そう言って、ルートさんが体を横にずらすと、藁の上に置かれた、真っ白なドラゴンの卵が現れた。
……あれ。意外と小さい。
メロンサイズのコカトリスの卵より大きいけれど、大きめなスイカには負けるくらい。
重さがそれほどでなければ、私一人でも何とか運べそうな大きさだ。
ドラゴンってくらいだから、卵も子どもの背丈くらい大きいのかと思ってたのだけど、そうでもないな。生まれてから、どれくらい成長するかは分からないけど。
「ーー触ってみるといい」
「え、でも……」
……うっかり触って割れちゃわないかしらん。
躊躇う私に、ルートさんは小さく笑った。
「大丈夫だ。ドラゴンの卵の殻は、コカトリスよりもさらに頑丈だ。ちょっと強く触ったくらいじゃ、全く問題はない」
そういうことなら、遠慮なく……おお。なんか、めちゃくちゃ温かい。そして、なんかどくどく脈打っていて、めちゃくちゃ生きている感じが伝わってくる。
確かに、これは何としてでも孵化させたくなるなーと思いつつ手を引っ込めると、私が卵を撫でる様を凝視していたルートさんは、残念そうに目を伏せた。
「……やっぱり、撫でたくらいでは、そう簡単に孵りはしないか」
ルートさんは深々とため息を吐くと、そっとドラゴンの卵を撫で上げた。
「ーーああ。俺の可愛い、子ドラゴン。一体お前はいつその愛らしい姿を見せてくれるんだ」
……うん?
今ルートさんの口から、どうも今までと全くテンションが異なる言葉が聞こえたような。
「……ルートさん?」
「とりあえず、今日から毎日一日一度卵に話しかけて、撫であげてくれ。殻の表面が汚れたら、温かいふきんでぬぐって綺麗にするんだ。寒くなったら、風邪をひいてしまうかもしれないから、温かい布団をかぶせてやって。暑い日には風通しの良い涼しい場所において、温度管理にはくれぐれも気をつけるように」
「……あ、はい」
つい勢いに飲まれて、頷いてしまったが……何だか卵に対する対応としては所々おかしいような。
そんなんで、本当に卵が孵るんだろうか。
「ーー聞いてくれ。リッカ。俺はドラゴンが大好きだ。愛していると言っても、過言じゃない」
そう言って、ルートさんが体を横にずらすと、藁の上に置かれた、真っ白なドラゴンの卵が現れた。
……あれ。意外と小さい。
メロンサイズのコカトリスの卵より大きいけれど、大きめなスイカには負けるくらい。
重さがそれほどでなければ、私一人でも何とか運べそうな大きさだ。
ドラゴンってくらいだから、卵も子どもの背丈くらい大きいのかと思ってたのだけど、そうでもないな。生まれてから、どれくらい成長するかは分からないけど。
「ーー触ってみるといい」
「え、でも……」
……うっかり触って割れちゃわないかしらん。
躊躇う私に、ルートさんは小さく笑った。
「大丈夫だ。ドラゴンの卵の殻は、コカトリスよりもさらに頑丈だ。ちょっと強く触ったくらいじゃ、全く問題はない」
そういうことなら、遠慮なく……おお。なんか、めちゃくちゃ温かい。そして、なんかどくどく脈打っていて、めちゃくちゃ生きている感じが伝わってくる。
確かに、これは何としてでも孵化させたくなるなーと思いつつ手を引っ込めると、私が卵を撫でる様を凝視していたルートさんは、残念そうに目を伏せた。
「……やっぱり、撫でたくらいでは、そう簡単に孵りはしないか」
ルートさんは深々とため息を吐くと、そっとドラゴンの卵を撫で上げた。
「ーーああ。俺の可愛い、子ドラゴン。一体お前はいつその愛らしい姿を見せてくれるんだ」
……うん?
今ルートさんの口から、どうも今までと全くテンションが異なる言葉が聞こえたような。
「……ルートさん?」
「とりあえず、今日から毎日一日一度卵に話しかけて、撫であげてくれ。殻の表面が汚れたら、温かいふきんでぬぐって綺麗にするんだ。寒くなったら、風邪をひいてしまうかもしれないから、温かい布団をかぶせてやって。暑い日には風通しの良い涼しい場所において、温度管理にはくれぐれも気をつけるように」
「……あ、はい」
つい勢いに飲まれて、頷いてしまったが……何だか卵に対する対応としては所々おかしいような。
そんなんで、本当に卵が孵るんだろうか。
「ーー聞いてくれ。リッカ。俺はドラゴンが大好きだ。愛していると言っても、過言じゃない」
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