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いざ、牧場に
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「私は独身ですし、後を継ぐべき家もありません。地位もお金もありますし、リッカの未来の夫としては優良物件では?」
「……リッカちゃんには、魔法の素養はありません。貴方のように天才的な魔術師が、そのような相手と結婚することなんて、許されないのでは?」
「周囲が何と言おうと、私がそれに従う義務はありませんから」
ちょ、ちょっと待って! なんか話が変な方向に行ってる!
父さんと母さんは、何とも言い難い顔をしているし、姉さんは完全に妹の結婚相手を見定めるモード入っているから!
こんな何とも言えない怖い顔の姉さん、初めて見たよ!
「ハ、ハミルさん! いや、ハミル義兄さん!」
「……なんだい? リッカちゃん。初めて義兄と呼んでくれたね。すごく嬉しいよ」
……あ、やっぱり義兄さん呼びに食いついて、セルドアから意識が逸れた。
扱いやすいな、ハミルさん。……いや、そんなことよりも。
「私は、その、セルドア様と結婚なんて全く考えてませんから、安心して下さい! そもそも身分が違いますし」
変態モノクル野郎なんて願い下げじゃ、と言いたい所だけど、牧場へ行く途中の転移魔法でまた臍を曲げられても困る。
私の言葉に、ハミルさんは困ったように眉をハの字にした。
「……リッカちゃん。君はそうかもしれないけどね。セルドア魔術師長が強引に関係を持とうとする可能性もあるんだよ。ただの侍女でしかないリッカちゃんに、抵抗は難しいだろう?」
「その辺りは、ご安心下さい。私は紳士ですからね。……っと」
「ちょっ!」
……そこでまた、お姫様だっこだと!?
おま、時と場合考えろや!
家族の前だぞ!
「誓ってお嬢さんの同意無しには、手を出したり致しません。……まあ、リッカ本人が想いを返してくれたら、また話は別ですが。ーーそれでは、失礼致します」
「ちょっ、まっ……」
覚えがある浮遊感。
咄嗟に、セルドアにしがみつく。
ーーそして次の瞬間、私は小さな牧場の前に立っていた。
「……さあ、着きましたよ。リッカ。今日から、ここが貴女の城です」
緩んだセルドアの手から、すぐさま飛び降りながら、キッとセルドアを睨みつけた。
「……何であんな誤解を招くような言い方したんですか。別れも唐突過ぎましたし」
今頃、残された皆はさぞかしパニック状態だろう。
……後で、魔法式通信機(要は電話だ)使って、私が無事なこと連絡しとかないと。
私が睨みつけても、セルドアは悪びれる素振りも見せずに肩を竦めた。
「だって、私がリッカに惚れ込んでいる体にしていた方が、貴族でもないリッカを侍女に採用した理由として説得力が出てくるでしょう?」
……説得力?
「……リッカちゃんには、魔法の素養はありません。貴方のように天才的な魔術師が、そのような相手と結婚することなんて、許されないのでは?」
「周囲が何と言おうと、私がそれに従う義務はありませんから」
ちょ、ちょっと待って! なんか話が変な方向に行ってる!
父さんと母さんは、何とも言い難い顔をしているし、姉さんは完全に妹の結婚相手を見定めるモード入っているから!
こんな何とも言えない怖い顔の姉さん、初めて見たよ!
「ハ、ハミルさん! いや、ハミル義兄さん!」
「……なんだい? リッカちゃん。初めて義兄と呼んでくれたね。すごく嬉しいよ」
……あ、やっぱり義兄さん呼びに食いついて、セルドアから意識が逸れた。
扱いやすいな、ハミルさん。……いや、そんなことよりも。
「私は、その、セルドア様と結婚なんて全く考えてませんから、安心して下さい! そもそも身分が違いますし」
変態モノクル野郎なんて願い下げじゃ、と言いたい所だけど、牧場へ行く途中の転移魔法でまた臍を曲げられても困る。
私の言葉に、ハミルさんは困ったように眉をハの字にした。
「……リッカちゃん。君はそうかもしれないけどね。セルドア魔術師長が強引に関係を持とうとする可能性もあるんだよ。ただの侍女でしかないリッカちゃんに、抵抗は難しいだろう?」
「その辺りは、ご安心下さい。私は紳士ですからね。……っと」
「ちょっ!」
……そこでまた、お姫様だっこだと!?
おま、時と場合考えろや!
家族の前だぞ!
「誓ってお嬢さんの同意無しには、手を出したり致しません。……まあ、リッカ本人が想いを返してくれたら、また話は別ですが。ーーそれでは、失礼致します」
「ちょっ、まっ……」
覚えがある浮遊感。
咄嗟に、セルドアにしがみつく。
ーーそして次の瞬間、私は小さな牧場の前に立っていた。
「……さあ、着きましたよ。リッカ。今日から、ここが貴女の城です」
緩んだセルドアの手から、すぐさま飛び降りながら、キッとセルドアを睨みつけた。
「……何であんな誤解を招くような言い方したんですか。別れも唐突過ぎましたし」
今頃、残された皆はさぞかしパニック状態だろう。
……後で、魔法式通信機(要は電話だ)使って、私が無事なこと連絡しとかないと。
私が睨みつけても、セルドアは悪びれる素振りも見せずに肩を竦めた。
「だって、私がリッカに惚れ込んでいる体にしていた方が、貴族でもないリッカを侍女に採用した理由として説得力が出てくるでしょう?」
……説得力?
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