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選べない選択肢

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 ハートの色が紫になったというのは、つまり赤に近づいたわけで。

 つまりパックさんは、何でか知らないけど、ちょっと私に好感を抱いたわけで。

 ……まあ、でもそれでコカトリス飼えるんだから、別にいーか。
 セルドア見る限り、黒から紫に変わるなんて、本当大したことじゃないだろうし。



「……結局二人とも、牧場通い決定か」

「私とパックじゃ、確認しないといけない部分が違いますからね。パックの言う通り、私じゃコカトリスの体調の変化は分かりませんから、致し方ありません」

 ……いや、やっぱりセルドアは来なくて良いんじゃないかと思うんだけど。
 セルドアが確認するのって何? ……あ、ドラゴンの卵の様子か。
 でも、ドラゴンの卵を見るにしても、セルドア以外に適任がいそうな気がするけど。

「……それにしても、リッカ。ずいぶんとパックと意気投合してましたね」

 あ、またなんか選択肢出た。

 えっと……。

→【パックさんは、素敵だったから】
 【セルドアの方が、気が合うよ】

 ……………え、これ選ばなきゃいけないの?

 無視しても良いけど、敢えて選ぶなら一択だな。

「……パックさん、素て……」

「因みに、今パックを褒められたら、私うっかり帰りの転移魔法中にうっかり手を滑らせてしまいそうです」

「ーーセルドアサンノ方ガ、気ガ合ウカト思ワレマス」

 ーー選択肢、あるんだから選ばせてくれよ……!
 強制選択じゃないか……!
 なんで、この人こんなにパックさんに対抗意識燃やしてるの!?

 ハートの色は……あ、よかった。流石に変わってない。

「なら、良いんですが。貴女はもっと異性との距離感を考えて行動すべきですね」

 嫌みったらしくモノクルをくいっと押し上げながら、セルドアはため息を吐いた。

「分かってますか? ドラゴンの卵を孵化させるまでは、貴女は純潔でいる必要があるのですよ?」

 ……あー。そういう心配か。

 しかし、私が少し異性と仲良くしたからって、すぐにこういう風に結びつけるとは、やっぱりセルドアは変態……てか、ムッツリだな。
 
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