転生したら、実家が養鶏場から養コカトリス場にかわり、知らない牧場経営型乙女ゲームがはじまりました

空飛ぶひよこ

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いけない理由

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「……あの。パックさん。話を聞いてらっしゃいました? 私の実家は養コカトリス場で……」

「小さい頃から、ずっと世話を手伝っていたんだよね。ちゃんと聞いてたよ。……だけど、手伝っていたってだけじゃあね。リッカちゃんに、コカトリスを飼う許可はあげられません」

 ……いやいやいやいや。おかしい、それ、おかしいって。

 こちとら、コカトリスのセミプロだぞ? この世界に生まれてからは、ずっとコカトリス塗れな毎日だったんだ。

 一度に何十羽も飼いたいって言ったならともかく、なんで一羽も飼えないんじゃ。

「手伝いって言っても、そんな軽いものじゃありませんよ!? うちでは何十羽ものコカトリス飼ってましたが、その半分は私が育てて来たようなものなんです!」

「へえ。それはすごいね」

「そうでしょう? そうでしょう? 餌やりから、卵回収、鳥舎掃除に各個体の健康管理、なんでも私がやって来ましたよ!? コカトリスに関わることで、私がさせてもらえなかったのは、それこそ卵を産まなくなった個体の始末くらいです」

『こればっかりは、リッカに任せるわけにはいかない』と、卵を生めなくなった鶏を殺すのは、いつも父さんの役割だった。
 私は私で積極的に血が見たいわけではないから、そればかりは父さんに全て一任していた。

 だけど、いざその気になれば私もコカトリスを締めることはできるし、それ以外の世話はほぼ完璧こなして来たんだ。

 それなのに、飼育するにはレベルが足りないとか、悪い冗談が過ぎる。

 しかし、パックさんは私の主張を聞いてなお、穏やかな笑みを崩すことはなかった。

「リッカちゃんの言いたいことは、分かるけどね。でもやっぱり、今のリッカちゃんにコカトリスを飼う許可は与えられないよ」

「っなんで……」

「お父上他、たくさんの人が出入りしているリッカちゃんのご実家と違って、リッカちゃんがこれから運営する国営牧場は、秘密保持の目的もあって、リッカちゃん以外の人間がほとんど出入りしない場所だからね。万が一のことがあっては困るんだ。コカトリスの石化は、数日放置されたら、蘇生が効かなくなるしね」
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