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コカトリスはレベルが足りない、だと……!?

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 二番目のハートマークをくっつけた人物は、ひょろりと背が高い、ふわふわなクリーム色の髪の毛をした優しそうな男の人だった。
 よく見れば顔立ちは整っているんだけど、牧歌的で素朴な雰囲気が強くて、変態モノクル野郎こと、セルドアなような目立つイケメンオーラはない。

 ……これ、もしかしてこれから私が出会う人全員が、ハートマークつけてたりする? やだよ。昨日の職業斡旋場のおっちゃんみたいな人のハートマークが、真っ赤だったりしたら。
 家族もみんな、ハートマークついてたりしたら、どうしよう……真っ赤であって欲しいと思うけど、これが性的な意味に限定されてる愛情だったら、黒じゃないと困るわけだし。

「……こう見えて、リッカは実家が養コカトリス場で、幼い頃からずっとコカトリスの世話を手伝っていた猛者ですよ。これ以上の適任は、いないでしょう」

「へえ、養コカトリス場。それなら、心強いですね」

 ……うん?
 今、なんか、モノクル野郎から、さらっと呼び捨てにされたような。
 なんか距離感おかしくないですか、この片眼鏡。
 
「僕の名前は、パック・アルデール。一応、この国営家畜場の総合責任者をやらせて頂いてます。国内で繁殖している家畜だったら、ここには何でもいるから、牧場で飼いたい家畜がいったら気軽に相談してね」

 ほわほわ~とした笑顔で挨拶をされ、セルドアによって苛立った心が安らぐ。

 ……なんか、この人、すごく良い人そう。

 同じように家畜と関わって来た人だろうし、この人なら牧場でコカトリスを育てるという私の夢を分かってくれそうだな。

「国営牧場のオーナーを任せられることになったリッカ・カートです。まずは、一匹好きな家畜を牧場に置かしてくれるということだったので、早速コカトリスを見せて欲しいんですが」

「コカトリス?」

「はい!」

 パックさんは暫く黙り込んで、穏やかな目で静かに私を眺めた後、にっこり微笑んだ。

「……うーん。残念だけど、今のリッカちゃんじゃ、コカトリスを飼育するにはレベルが足りないかな?」

 ……はい?
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