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進路、どうしよう(二度目)
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「セレーヌから、ずっと話は聞いていたよ。……でも、こうやって改めて君と対峙して、驚いた。こんなに華奢で可愛らしい子が、あの凶暴なコカトリスの世話をしていたんだなんて。家族の為に、君はずっと頑張って来たんだね」
……やめてくれ。爽やかマッチョ騎士。
そんな痛みに耐えるような、慈しむような目で私を見るんじゃない。前世兄ちゃん思い出すだろうが。
見た目はわりと細いけど、日々コカトリスと戦ってるから、ちゃんと筋肉ついてんだぞ。騎士ならそれくらい分かってくれよ。
もう、黙れ。その先は言わないでくれ。
………頼む。どうか、お願いします。
家族が駄目なら、他人の貴方に察して貰うしかないんです。
「でも、私が来たから、もう大丈夫だよ。君はもう、農場に縛られなくてもいいんだ。したい仕事があるなら、私が伝手を使って紹介するし、結婚を望むなら、良い縁談も探してくるよ。これからは、十七歳の女の子として、望むままに生きてくれ」
あ~あ~デ~ジャ~ヴ……。
何でみんな女の子の幸せは、こうであるべきだとか決めつけるの!?
何で、農業の後継者不足が問題になっている昨今、私の周囲はこんなにやる気があってしまうの?
やめて。
誤解しないで。
ーー私は、実家の後を継ぎたいのです!
「……ああ……。進路、どうしよう」
……なんてさ、言えなかったよ。今世も。
だって、前世も今世も、みんな善意100%なんだもん。良かれと思って、やってんだもん。私のこと、愛するが故の言葉なんだもん。
……前世の兄ちゃんですらさ、あれ、本当に私の為になると思って言ってたんだよ。真面目な私にコンプレックス拗らせながらも、何だかんだで妹大好き人間だったんだもん。誕生日には、私が超いらない自分の好きなもの(わりと高額)を、私が喜ぶと信じて、毎年欠かさず贈ってくるような人だったもん。
私もさ、何だかんだで家族大好きだからさ……言えないじゃん。有難迷惑だなんて、そんなこと。言ったら、大好きな家族が悲しむじゃん。
爽やかマッチョがさ、てんでコカトリス育成とか無理な奴だったら、まだ話は違ったんだけどさ。
あいつ、元々魔物討伐専門の騎士らしく、そういうのお手の物らしいのよ。
なんか特殊なオーラみたいなのだしてさ、あの獰猛なコッケですら瞬時に大人しくさせちゃうの。私とコッケの戦いの日々が、嘘だったみたいにさ。
父さんも母さんも、勿論大喜びさ。性格も優しいし、実際良い婿だと思うよ。姉さんは、男を見る目があるよ。
……だからさ、これが一番良いんだ。
私がさ、本音飲みこめば、良いのさ。そうすれば、みんな幸せなんだから。
「っ……でも、やっぱり私はコカトリスで生計立てて生きたい~」
……やめてくれ。爽やかマッチョ騎士。
そんな痛みに耐えるような、慈しむような目で私を見るんじゃない。前世兄ちゃん思い出すだろうが。
見た目はわりと細いけど、日々コカトリスと戦ってるから、ちゃんと筋肉ついてんだぞ。騎士ならそれくらい分かってくれよ。
もう、黙れ。その先は言わないでくれ。
………頼む。どうか、お願いします。
家族が駄目なら、他人の貴方に察して貰うしかないんです。
「でも、私が来たから、もう大丈夫だよ。君はもう、農場に縛られなくてもいいんだ。したい仕事があるなら、私が伝手を使って紹介するし、結婚を望むなら、良い縁談も探してくるよ。これからは、十七歳の女の子として、望むままに生きてくれ」
あ~あ~デ~ジャ~ヴ……。
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やめて。
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……なんてさ、言えなかったよ。今世も。
だって、前世も今世も、みんな善意100%なんだもん。良かれと思って、やってんだもん。私のこと、愛するが故の言葉なんだもん。
……前世の兄ちゃんですらさ、あれ、本当に私の為になると思って言ってたんだよ。真面目な私にコンプレックス拗らせながらも、何だかんだで妹大好き人間だったんだもん。誕生日には、私が超いらない自分の好きなもの(わりと高額)を、私が喜ぶと信じて、毎年欠かさず贈ってくるような人だったもん。
私もさ、何だかんだで家族大好きだからさ……言えないじゃん。有難迷惑だなんて、そんなこと。言ったら、大好きな家族が悲しむじゃん。
爽やかマッチョがさ、てんでコカトリス育成とか無理な奴だったら、まだ話は違ったんだけどさ。
あいつ、元々魔物討伐専門の騎士らしく、そういうのお手の物らしいのよ。
なんか特殊なオーラみたいなのだしてさ、あの獰猛なコッケですら瞬時に大人しくさせちゃうの。私とコッケの戦いの日々が、嘘だったみたいにさ。
父さんも母さんも、勿論大喜びさ。性格も優しいし、実際良い婿だと思うよ。姉さんは、男を見る目があるよ。
……だからさ、これが一番良いんだ。
私がさ、本音飲みこめば、良いのさ。そうすれば、みんな幸せなんだから。
「っ……でも、やっぱり私はコカトリスで生計立てて生きたい~」
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