307 / 311
番の時間①※
しおりを挟む
アストルディアの心の傷について、これ以上深く言及する気はない。
自分の心の闇を誰かに吐き出せば楽になる人間がいる一方で、一人で飲み込む方が良い人間もいる。俺は前者で、アストルディアは後者だ。俺はずっとアストルディアに弱音を吐き出しっぱなしだけど、アストルディアは自分のことはあまり語らず、それでもただ俺が傍にいただけで救われたと言ってくれた。
アストルディアの場合、恐らく俺に関すること以外の心の傷に関しては、無理に語らせるべきじゃないのだろう。
「……俺さぁ。アイルを産んでから、母性がありあまって仕方ないんだわ。大好きで可愛い番を、甘やかしたくて仕方ねぇの。だからさ。アスティ。俺の為に甘やかされてやってくれよ」
胸のうちを無理やり暴く代わりに、幼い頃から誰にも甘えることができなかっただろうこの男を目一杯甘やかして、大好きだよと何度も何度も全身で伝えてやりたい。
きっとそれは番である俺にしかできないことで、俺の特権だから。
下から包み込むように、優しくアストルディアを抱き締めると、アストルディアが顔をくしゃりと歪めた。
「ああ……またさらに、エディのことを好きになってしまった」
「俺もますます大好きになってるから、大丈夫だ」
「……んっ……ふっ……」
乳首の愛撫なんて、セックスではありきたりの前戯のはずなのに、出産して母乳が出るようになった途端いきなり変態プレイに変わってしまうのだからおかしな話だ。
男ながらも妊娠した俺は、当然のように出産後は母乳が出るようになり、アイルは今のところ俺の母乳だけを飲んでスクスク育っている。アイルの前世がまなであることを考えると、当初乳首を吸われるのがひどく複雑だったが、深く考えないことに決めた。
アイルをチルシアさんに預けるにあたって、直前に搾乳したものを凍らせて渡したのだが、あれだけ搾ってなお有り余っている母乳が、今アストルディアの口の中に注がれてるのだと思うと、何だかキュンキュンしてしまう。
乳首を舌で愛撫しているアスティのさらさらの銀髪を撫でながら、その額に優しく口づけた。
「……かわいいなぁ。アスティ。愛おしいなぁ」
アイルに告げるように優しく愛を囁くと、アストルディアはムッとしたように眉間に皺を寄せた。
「……俺はエディの子どもになりたいわけじゃないぞ」
「そうか? 俺はできるものならば、俺がお前を産んで目一杯愛情を注いで育てたかったなと思うよ」
「俺は母としてのエディが欲しいんじゃない。番としての、お前が欲しいんだ」
「んんっ!」
お仕置きのように、反対の乳首を強めに指でつままれ、ぴゅっと白い母乳が噴き出した。
我が体に起こってることながら、大変エロくて良いと思う。零れたそれを、アストルディアが舐め取ってる所も含めて。
「……それも、そうだな」
原作ルートでは、俺もアストルディアもがっつり息子とヤっていたわけだが、俺自身が近親相姦趣味なわけじゃないので、アストルディアが俺の息子に生まれてたらそういう関係にはならなかっただろう。
「禁忌云々は置いておいても、俺がエディの子に生まれた時点で、既にエディは誰かの番になっていたということだ。エディが、俺以外の奴のものになるなんて、耐えられない。なら、どれほど淋しい子ども時代を送ることになったとしても、他人の関係がいい」
「本気にするなよ。アスティ。ただ、俺の母乳を口にしてるアストルディアをかわいくて愛おしいと思ったから、そんな馬鹿なことを思っただけだって」
想像の中の自分の父親に嫉妬する姿すら、ますます可愛いくて愛おしいのだから、どうしようもない。
アストルディアは日を追うごとに俺のことを好きになって行くというが、俺だって同じだ。両思いなのだとわかって、ストッパーがなくなったせいで、どんどんどんどん沼にハマるみたいにアストルディアを好きになってしまっている。
自分の心の闇を誰かに吐き出せば楽になる人間がいる一方で、一人で飲み込む方が良い人間もいる。俺は前者で、アストルディアは後者だ。俺はずっとアストルディアに弱音を吐き出しっぱなしだけど、アストルディアは自分のことはあまり語らず、それでもただ俺が傍にいただけで救われたと言ってくれた。
アストルディアの場合、恐らく俺に関すること以外の心の傷に関しては、無理に語らせるべきじゃないのだろう。
「……俺さぁ。アイルを産んでから、母性がありあまって仕方ないんだわ。大好きで可愛い番を、甘やかしたくて仕方ねぇの。だからさ。アスティ。俺の為に甘やかされてやってくれよ」
胸のうちを無理やり暴く代わりに、幼い頃から誰にも甘えることができなかっただろうこの男を目一杯甘やかして、大好きだよと何度も何度も全身で伝えてやりたい。
きっとそれは番である俺にしかできないことで、俺の特権だから。
下から包み込むように、優しくアストルディアを抱き締めると、アストルディアが顔をくしゃりと歪めた。
「ああ……またさらに、エディのことを好きになってしまった」
「俺もますます大好きになってるから、大丈夫だ」
「……んっ……ふっ……」
乳首の愛撫なんて、セックスではありきたりの前戯のはずなのに、出産して母乳が出るようになった途端いきなり変態プレイに変わってしまうのだからおかしな話だ。
男ながらも妊娠した俺は、当然のように出産後は母乳が出るようになり、アイルは今のところ俺の母乳だけを飲んでスクスク育っている。アイルの前世がまなであることを考えると、当初乳首を吸われるのがひどく複雑だったが、深く考えないことに決めた。
アイルをチルシアさんに預けるにあたって、直前に搾乳したものを凍らせて渡したのだが、あれだけ搾ってなお有り余っている母乳が、今アストルディアの口の中に注がれてるのだと思うと、何だかキュンキュンしてしまう。
乳首を舌で愛撫しているアスティのさらさらの銀髪を撫でながら、その額に優しく口づけた。
「……かわいいなぁ。アスティ。愛おしいなぁ」
アイルに告げるように優しく愛を囁くと、アストルディアはムッとしたように眉間に皺を寄せた。
「……俺はエディの子どもになりたいわけじゃないぞ」
「そうか? 俺はできるものならば、俺がお前を産んで目一杯愛情を注いで育てたかったなと思うよ」
「俺は母としてのエディが欲しいんじゃない。番としての、お前が欲しいんだ」
「んんっ!」
お仕置きのように、反対の乳首を強めに指でつままれ、ぴゅっと白い母乳が噴き出した。
我が体に起こってることながら、大変エロくて良いと思う。零れたそれを、アストルディアが舐め取ってる所も含めて。
「……それも、そうだな」
原作ルートでは、俺もアストルディアもがっつり息子とヤっていたわけだが、俺自身が近親相姦趣味なわけじゃないので、アストルディアが俺の息子に生まれてたらそういう関係にはならなかっただろう。
「禁忌云々は置いておいても、俺がエディの子に生まれた時点で、既にエディは誰かの番になっていたということだ。エディが、俺以外の奴のものになるなんて、耐えられない。なら、どれほど淋しい子ども時代を送ることになったとしても、他人の関係がいい」
「本気にするなよ。アスティ。ただ、俺の母乳を口にしてるアストルディアをかわいくて愛おしいと思ったから、そんな馬鹿なことを思っただけだって」
想像の中の自分の父親に嫉妬する姿すら、ますます可愛いくて愛おしいのだから、どうしようもない。
アストルディアは日を追うごとに俺のことを好きになって行くというが、俺だって同じだ。両思いなのだとわかって、ストッパーがなくなったせいで、どんどんどんどん沼にハマるみたいにアストルディアを好きになってしまっている。
381
お気に入りに追加
2,079
あなたにおすすめの小説
【BL】男なのになぜかNo.1ホストに懐かれて困ってます
猫足
BL
「俺としとく? えれちゅー」
「いや、するわけないだろ!」
相川優也(25)
主人公。平凡なサラリーマンだったはずが、女友達に連れていかれた【デビルジャム】というホストクラブでスバルと出会ったのが運の尽き。
碧スバル(21)
指名ナンバーワンの美形ホスト。博愛主義者。優也に懐いてつきまとう。その真意は今のところ……不明。
「僕の方がぜってー綺麗なのに、僕以下の女に金払ってどーすんだよ」
「スバル、お前なにいってんの……?」
冗談? 本気? 二人の結末は?
美形病みホスと平凡サラリーマンの、友情か愛情かよくわからない日常。
光る穴に落ちたら、そこは異世界でした。
みぃ
BL
自宅マンションへ帰る途中の道に淡い光を見つけ、なに? と確かめるために近づいてみると気付けば落ちていて、ぽん、と異世界に放り出された大学生が、年下の騎士に拾われる話。
生活脳力のある主人公が、生活能力のない年下騎士の抜けてるとこや、美しく格好いいのにかわいいってなんだ!? とギャップにもだえながら、ゆるく仲良く暮らしていきます。
何もかも、ふわふわゆるゆる。ですが、描写はなくても主人公は受け、騎士は攻めです。
新しい道を歩み始めた貴方へ
mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。
そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。
その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。
あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。
あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……?
嫌われ者の長男
りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....
【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます
夏ノ宮萄玄
BL
オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。
――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。
懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。
義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。
ある日、人気俳優の弟になりました。
樹 ゆき
BL
母の再婚を期に、立花優斗は人気若手俳優、橘直柾の弟になった。顔良し性格良し真面目で穏やかで王子様のような人。そんな評判だったはずが……。
「俺の命は、君のものだよ」
初顔合わせの日、兄になる人はそう言って綺麗に笑った。とんでもない人が兄になってしまった……と思ったら、何故か大学の先輩も優斗を可愛いと言い出して……?
平凡に生きたい19歳大学生と、24歳人気若手俳優、21歳文武両道大学生の三角関係のお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる