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番の時間①※

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 アストルディアの心の傷について、これ以上深く言及する気はない。
 自分の心の闇を誰かに吐き出せば楽になる人間がいる一方で、一人で飲み込む方が良い人間もいる。俺は前者で、アストルディアは後者だ。俺はずっとアストルディアに弱音を吐き出しっぱなしだけど、アストルディアは自分のことはあまり語らず、それでもただ俺が傍にいただけで救われたと言ってくれた。
 アストルディアの場合、恐らく俺に関すること以外の心の傷に関しては、無理に語らせるべきじゃないのだろう。
 
「……俺さぁ。アイルを産んでから、母性がありあまって仕方ないんだわ。大好きで可愛い番を、甘やかしたくて仕方ねぇの。だからさ。アスティ。俺の為に甘やかされてやってくれよ」

 胸のうちを無理やり暴く代わりに、幼い頃から誰にも甘えることができなかっただろうこの男を目一杯甘やかして、大好きだよと何度も何度も全身で伝えてやりたい。
 きっとそれは番である俺にしかできないことで、俺の特権だから。

 下から包み込むように、優しくアストルディアを抱き締めると、アストルディアが顔をくしゃりと歪めた。

「ああ……またさらに、エディのことを好きになってしまった」

「俺もますます大好きになってるから、大丈夫だ」



「……んっ……ふっ……」

 乳首の愛撫なんて、セックスではありきたりの前戯のはずなのに、出産して母乳が出るようになった途端いきなり変態プレイに変わってしまうのだからおかしな話だ。
 男ながらも妊娠した俺は、当然のように出産後は母乳が出るようになり、アイルは今のところ俺の母乳だけを飲んでスクスク育っている。アイルの前世がまなであることを考えると、当初乳首を吸われるのがひどく複雑だったが、深く考えないことに決めた。
 アイルをチルシアさんに預けるにあたって、直前に搾乳したものを凍らせて渡したのだが、あれだけ搾ってなお有り余っている母乳が、今アストルディアの口の中に注がれてるのだと思うと、何だかキュンキュンしてしまう。
 乳首を舌で愛撫しているアスティのさらさらの銀髪を撫でながら、その額に優しく口づけた。

「……かわいいなぁ。アスティ。愛おしいなぁ」

 アイルに告げるように優しく愛を囁くと、アストルディアはムッとしたように眉間に皺を寄せた。

「……俺はエディの子どもになりたいわけじゃないぞ」

「そうか? 俺はできるものならば、俺がお前を産んで目一杯愛情を注いで育てたかったなと思うよ」

「俺は母としてのエディが欲しいんじゃない。番としての、お前が欲しいんだ」

「んんっ!」

 お仕置きのように、反対の乳首を強めに指でつままれ、ぴゅっと白い母乳が噴き出した。
 我が体に起こってることながら、大変エロくて良いと思う。零れたそれを、アストルディアが舐め取ってる所も含めて。

「……それも、そうだな」

 原作ルートでは、俺もアストルディアもがっつり息子とヤっていたわけだが、俺自身が近親相姦趣味なわけじゃないので、アストルディアが俺の息子に生まれてたらそういう関係にはならなかっただろう。

「禁忌云々は置いておいても、俺がエディの子に生まれた時点で、既にエディは誰かの番になっていたということだ。エディが、俺以外の奴のものになるなんて、耐えられない。なら、どれほど淋しい子ども時代を送ることになったとしても、他人の関係がいい」

「本気にするなよ。アスティ。ただ、俺の母乳を口にしてるアストルディアをかわいくて愛おしいと思ったから、そんな馬鹿なことを思っただけだって」

 想像の中の自分の父親に嫉妬する姿すら、ますます可愛いくて愛おしいのだから、どうしようもない。
 アストルディアは日を追うごとに俺のことを好きになって行くというが、俺だって同じだ。両思いなのだとわかって、ストッパーがなくなったせいで、どんどんどんどん沼にハマるみたいにアストルディアを好きになってしまっている。
 

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