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愛してるなら

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 まながアイルの魂に入ったことで、その性質が大きく変化したのか。それとも元々はそういう性質だったアイルが、原作の過酷な環境のせいでああなってしまったのか。
 わからないけど、叶うことならばアイルには自らの性質をねじ曲げることなく、まっすぐに成長して欲しいと思う。
 ちょっと残念なまま、それでも健やかに生きられるのは、周りがそれを許してくれる平和な環境だからこそだ。
 もちろんの王族として、民の前で見せる姿も必要だろうが、家族や信頼できる相手の前くらいは素の自分を晒してもいい。
 幼い俺が、アストルディアの傍で得た安らぎを、今度は俺達がアイルに与えてあげたいと思う。

「……それより、アスティ。今の状況、理解しているか?」

 未だアイルに番ができたかもと頭を抱えているアストルディアに、すすっと近づき、あざとくこてんとその肩に頭を預ける。

「久しぶりの、そして両思いだとわかって初めての、二人きりで過ごせる夜だぞ。聖魔法を駆使した結果、今の俺の体はすっかり回復してる。……さて、お前が今、すべきことはなんだと思う?」

 ぶわりと膨らみながら、白銀の尾が立ち上がる。

「え、あの、その、え?」

 すっかりわかりやすく感情を表に出すようになったアストルディアの姿に、笑みを漏らしながら、後頭部に手を回した。

「……なかなか機会がなくて、まだ項を上書きしてなかっただろ」

 本当はすぐにでもヴィダルスの跡を上書きしたいと思っていながらも、噛んでしまえば歯止めが効かなくなると、ずっと我慢していたことも知っている。
 獣人であるアイルは、人間の赤ん坊ほどは手がかからないけど、それでも夜寝る時は母親である俺といたがったし、聖魔法を使ってなおアストルディアは産後の俺の体をずっと心配していたから。
 だから、降って湧いたように寝かしつけの時間が空いた今日こそは、俺が誘ってやるべきなのだろう。

「お前こそが俺の番だって、感じさせてくれよ。体の全部で」

 触れるだけで済ませるはずだった口づけは、すぐにアストルディアの手で深いものに変わった。
 まるで食い尽くされるような、荒々しい余裕がないキスが、やたら嬉しい。

「……ん……アスティ……」

「……本当にいいのか。エディ。もう止められないぞ」

 獲物を捕らえた獣のように金の瞳をギラギラ輝かせながら、アストルディアが繋がっていた唾液を舌で舐め取る。
 これだけ煽ってなお、まだ理性が残っているようなので、俺は笑いながら、自分の鼻の先をアストルディアの鼻の先に擦りつけた。

「ーー好きだよ。アスティ。お前のことを、愛してる。愛してるから、抱いて欲しいんだ」 

「っ」

「アスティは違うのか?」

「っ愛してるに決まっているだろう!」

 案の定理性がぷっつんしたアストルディアから、夫婦用のベッドに押し倒された。
 してやったりではあるが、結構値がする服をビリビリに破り捨てられたから、ちょっとやり過ぎたかもしれない。

「愛してる。愛してるんだ、エディ。昨日よりも今日、今日よりも明日。日を追うごとに、ますますお前が好きになる。抱きたくないはずが、ないだろう!? 悍ましい跡を上書きしたくないはずがないだろう!? それでも、激情でお前を傷つけたりしないように、今まで必死に我慢していたのに……お前はっ!」

「俺はそんなに弱くねぇっつーの。そもそもさ、お前はスパダリ過ぎんだよ。俺やアイルのことばっかり心配して……本当は自分だってギリギリな状態な癖に」

 実の母親をはじめとする今回の件に関わったものの処罰や、実の父親の葬儀の手配。さらに王位継承の儀の準備や、さらにさらに自分が王位を継いだ後に進めるセネーバの改革計画の立案等、今のアストルディアはとにかくめちゃくちゃ忙しい。
 その癖、夜は必死に家族の時間を作って、俺やアイルに会いに来て良いパパの役目まで果たして、本当スパダリもいい加減にしろよという状態なのだ。
 実の母親に陥れられた末に、項の噛み跡だけとは言え番をntrれたような現状に、傷ついてないはずがないのに。

 ストレス発散も兼ねて、ここらで一発思う存分ヤってもらって、ガス抜きしてやりたいと思ってた所に、降って湧いた思わぬ僥倖。利用しない手はない。

 ……まあ、単純にアストルディアと両思いえっちをしたいという、俺の欲もあるけどさ。

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