俺の悪役チートは獣人殿下には通じない

空飛ぶひよこ

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あったかもしれない最期⑥※

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 口の端からよだれを垂らして。目の焦点が合ってなくて。
 他の奴なら、みっともねえと逆に萎えそうな顔が、めちゃくちゃ可愛いから困る。できることなら、もっと早くこの顔を見ておきた
かった。これが見納めになるのは惜し過ぎる。
 思わず動くのも忘れて、エドワードのアヘ顔に見惚れてると、焦点が戻って来たエドワードが、何を勘違いしたのか首に回してた手を俺の後頭部に回して、そっと触れるだけのキスをしてきた。

 ……あぁ、本当もう、ただただ可愛い。
 ただただ、愛おしい。

 マズル越しのキスだと、深く繋がれない気がして、挿入した状態のまま初めて人化をした。
 人化状態のアストルディアからのレイプがトラウマのエドワードは、一瞬怯えたような顔をしたが、すぐに今抱いているのが俺だと認識して、安心したように身を任せて来た。
 愛おし過ぎて、頭がおかしくなりそうだ。……いや、もうとっくになってるか。
 口全体で深く繋がる人化特有の感覚を堪能しながら、ゆっくりエドワードの腰を揺さぶって、上下させる。
 エドワードのイイとこを突く度に伝わってくる様々な情報に、頭がくらくらする。

「……エド……エド……エド……」

 口づけの間に、その名を繰り返す。
 他の奴とは被らない、俺だけのエドワードの呼び名を。

 この瞬間が、永遠に続いて欲しいと思う反面で、早くその先が見たいと思う自分がいる。
 きっとそれは、今のこの瞬間よりも、さらに幸福だと確信しているから。

「ーーーっ!!!」

 頃合いを見て瘤まで全部ぶち込むと、エドワードがぎゅっと片手でしがみついてイった。
 対面特有の可愛い反応に口元を緩めながら、エドワードの子宮の中に最後の精を解き放つ。 
 ……どうせ、エドワードも近い未来で死ぬのなら、最期くらいは魔力を込めてみようかとも思ったが、やっぱりやめた。
 エドワードの死出の伴は、俺だけでいい。

「……あァー。今までで、一番気持ち良かった」

 どくどくと無意味で非生産な精液が注がれていくのを感じながら、ぐったりとしたエドワードの体をかき抱く。

「このまま首掻っ切っちゃ、駄目かァ? 最高に気持ち良く死ねそうなんだが」

「……それだと、俺の存在がアストルディアにばれるだろうが。馬鹿」

「だよなァ」
 
 できれば腹上死が良かったが、こればっかりは仕方ない。
 諦めて、瘤が萎むまでエドワードを堪能するか。



「……さて、と。そろそろ時間か」

 あまりのんびりしてると、アストルディアの兵が来ちまう。
 惜しみながらも瘤が萎んだちんこを抜き、互いの服を整え、屋敷の中に残っていたエドワードの痕跡を消していく。

「それじゃあ、エドワード。後は頑張れよ」

 獣面状態に戻って笑いかけると、エドワードはまた、顔をぐしゃぐしゃにして泣いた。最近知ったのだが、存外泣き虫な男なのだ。

「……ヴィー……俺は……俺は……」

 涙を舌で舐めとって、戦闘用に立てた爪を自身の首元にあてる。

 悔いはない。恐怖もない。

 ただただ、幸福感だけに包まれている。

 きっと俺はいつか、日常の延長のような、つまんねぇ死を迎えるのだと思っていた。
 生きることは、ひたすら退屈で仕方なかったから。きっと死という初めての刺激に、少しばかり喜んで、それで終わるのだと思っていた。

 それなのに……それなのに、こんなにも幸福な死を迎えられるだなんて。
 いつか狼獣人の父が、番の為に死ぬことが狼獣人にとって一番の幸せだと言っていた時は鼻で笑っていたのに。今はその気持ちが、よくわかる。

 ーーアストルディア。お前は、自分の息子と幸せになると良い。 
 
 お前の咎が産んだ、不幸なガキだ。責任もって、幸せにしてやれ。
 神が許さなくても、俺だけはお前達を祝福してやるから。

 だから、どうか生き抜いて、エドワードの復讐を失敗させてくれ。

 エドワードの地獄の伴は、俺の役目だ。お前は、いらない。

「……それじゃあ、またな」

 エドワードには口が裂けても言えない本音を胸に秘めて、微笑みながら首元を爪でかき切った。
 未来永劫エドワードと共に地獄の炎で焼かれる、幸福な未来を夢見て。
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