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ワニの村 再②
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「……本当、ごめんな。巻き込んで」
「まあ、正直タンクを巻き込みやがって、とは思わなくもないけど。俺はタンクが決めたことは、全力で応援するって決めてるから、いーよー。エド様の事情自体は、素直にかわいそうだと思うし。でもタンクに何かあれば、多分俺迷いなくエド様見捨てると思うから、そのつもりでよろしくっ!」
「……本当、お前らは呆れるくらい素直だよな」
たとえタンクの為でも俺に協力すると決めたからには、二者択一の状況になるまでは最大限恩を売っておけばいいのに、わざわざタンクを一番優先すること先に表明するのさぁ……本当、素直過ぎて心配になる。
でも、これがポンダーであり、アンポンタンなんだよなー……心配になるくらい裏表がなくて、素直で、自分の気持ちに忠実で。
こいつらと友達になること決めた、過去の俺さぁ……自画自賛になるけど、びっくりするほど見る目あるよな。こいつらなら、絶対俺に嘘つかないというか、仮に頑張って嘘ついてもバレバレな予感しかないもんな。そう言う意味では、ぶっちゃけアストルディア以上に信用できる奴らだわ。俺、あいつの嘘、見抜ける自信ないもん。
「てか、エド様、敬語辞めたねー。これは俺らに、以前よりも心開いた的な表明? やめてよ、俺いざと言う時は、タンクの為にエド様切り捨てる気満々なのに、心痛むじゃん。ただでさえ権力者相手じゃなけりゃ、普通に体張ってもいいくらいにはエド様好きなのにさぁ」
「あ、言われて見れば、エド様タメ口だね。タメ口似合い過ぎて、今まで敬語使ってたこと自体忘れてたよ。なんてか、エド様支配者オーラあるし」
「……これ以上お前ら好きにさせんの、やめてくれ。ポンダーじゃないけど、匿ってもらってることに罪悪感抱いちゃうから」
「え! 駄目だよ。エド様。タンクに惚れないで!」
「あの……その……俺も、エド様がポンダーに惚れたら……やだなあ……」
「そう言う好きじゃねぇから、安心しろよ! もう、本当さ、本当泣けるからやめろ」
……まだ何も解決してないのに、安心しちゃうだろ。泣いて縋りそうになるから、やめてくれ。
俺は、今からヴィダルスを止めて、戦争を回避しなきゃいないのに。
「……取り敢えず、俺はこの首輪を外したいんだ。この首輪さえなければ、これ以上二人にも迷惑かけないで済むと思う。この村に、無属性持ちか、聖属性持ちはいないか」
「……ごめん、俺、エド様が言ってる意味がわからないや」
「属性って何?」
「ええと……王族みたいに、攻撃や自然現象を無効化できる獣人や、ケガや病気を回復できる特別な力な持つ獣人に心当たりはないか?」
「さすがに王族みたいな人は知らないけど。隣村のリチュチュ婆ちゃんは、怪我や病気を治す特別な力を持ってるって聞いたなあー」
「っその人と、会えるか!?」
「んー。リチュチュ婆ちゃんに怪我や病気を治して欲しい人が殺到し過ぎて、今は面会制限してるって聞いたから難しいかもなあ。村長クラスじゃないと、アポなしで会うのは難しいかも」
……この村の村長は、確か、ポンダーのはとこの父親だったか。さすがにポンダーの伝手を使っても、権限使ってもらうのは難しそうだなぁ。俺とタンクは、今は国家反逆罪を犯した犯罪者だし。
思わずがっくり肩を落とした瞬間、ポンダーの家の扉が開いた。
「ーー話は、聞かせてもらったぞ!」
いや、ちょ、待って。ポンダーのはとこの親父さん。このタイミングで乱入するのは、もはやギャグだろ。
「お、おじさん、じゃなかった、村長! 何故、ここに!」
「玄関前であんだけ大声で話してたんだから、そりゃ俺まで話回ってくるっつーの。事情は、密かに全部聞かせてもらったぜ」
……いつもなら魔力の気配で気づくはずなのになあ。ポンダーがポンダー過ぎて、つい気が緩んだか。それともこれも首輪のせいか。
思わず遠い目になる俺に、村長はいい笑顔で親指を立てた。
「安心しろ。エド様。俺ら村のもんは、みんなエド様の味方だ!」
「まあ、正直タンクを巻き込みやがって、とは思わなくもないけど。俺はタンクが決めたことは、全力で応援するって決めてるから、いーよー。エド様の事情自体は、素直にかわいそうだと思うし。でもタンクに何かあれば、多分俺迷いなくエド様見捨てると思うから、そのつもりでよろしくっ!」
「……本当、お前らは呆れるくらい素直だよな」
たとえタンクの為でも俺に協力すると決めたからには、二者択一の状況になるまでは最大限恩を売っておけばいいのに、わざわざタンクを一番優先すること先に表明するのさぁ……本当、素直過ぎて心配になる。
でも、これがポンダーであり、アンポンタンなんだよなー……心配になるくらい裏表がなくて、素直で、自分の気持ちに忠実で。
こいつらと友達になること決めた、過去の俺さぁ……自画自賛になるけど、びっくりするほど見る目あるよな。こいつらなら、絶対俺に嘘つかないというか、仮に頑張って嘘ついてもバレバレな予感しかないもんな。そう言う意味では、ぶっちゃけアストルディア以上に信用できる奴らだわ。俺、あいつの嘘、見抜ける自信ないもん。
「てか、エド様、敬語辞めたねー。これは俺らに、以前よりも心開いた的な表明? やめてよ、俺いざと言う時は、タンクの為にエド様切り捨てる気満々なのに、心痛むじゃん。ただでさえ権力者相手じゃなけりゃ、普通に体張ってもいいくらいにはエド様好きなのにさぁ」
「あ、言われて見れば、エド様タメ口だね。タメ口似合い過ぎて、今まで敬語使ってたこと自体忘れてたよ。なんてか、エド様支配者オーラあるし」
「……これ以上お前ら好きにさせんの、やめてくれ。ポンダーじゃないけど、匿ってもらってることに罪悪感抱いちゃうから」
「え! 駄目だよ。エド様。タンクに惚れないで!」
「あの……その……俺も、エド様がポンダーに惚れたら……やだなあ……」
「そう言う好きじゃねぇから、安心しろよ! もう、本当さ、本当泣けるからやめろ」
……まだ何も解決してないのに、安心しちゃうだろ。泣いて縋りそうになるから、やめてくれ。
俺は、今からヴィダルスを止めて、戦争を回避しなきゃいないのに。
「……取り敢えず、俺はこの首輪を外したいんだ。この首輪さえなければ、これ以上二人にも迷惑かけないで済むと思う。この村に、無属性持ちか、聖属性持ちはいないか」
「……ごめん、俺、エド様が言ってる意味がわからないや」
「属性って何?」
「ええと……王族みたいに、攻撃や自然現象を無効化できる獣人や、ケガや病気を回復できる特別な力な持つ獣人に心当たりはないか?」
「さすがに王族みたいな人は知らないけど。隣村のリチュチュ婆ちゃんは、怪我や病気を治す特別な力を持ってるって聞いたなあー」
「っその人と、会えるか!?」
「んー。リチュチュ婆ちゃんに怪我や病気を治して欲しい人が殺到し過ぎて、今は面会制限してるって聞いたから難しいかもなあ。村長クラスじゃないと、アポなしで会うのは難しいかも」
……この村の村長は、確か、ポンダーのはとこの父親だったか。さすがにポンダーの伝手を使っても、権限使ってもらうのは難しそうだなぁ。俺とタンクは、今は国家反逆罪を犯した犯罪者だし。
思わずがっくり肩を落とした瞬間、ポンダーの家の扉が開いた。
「ーー話は、聞かせてもらったぞ!」
いや、ちょ、待って。ポンダーのはとこの親父さん。このタイミングで乱入するのは、もはやギャグだろ。
「お、おじさん、じゃなかった、村長! 何故、ここに!」
「玄関前であんだけ大声で話してたんだから、そりゃ俺まで話回ってくるっつーの。事情は、密かに全部聞かせてもらったぜ」
……いつもなら魔力の気配で気づくはずなのになあ。ポンダーがポンダー過ぎて、つい気が緩んだか。それともこれも首輪のせいか。
思わず遠い目になる俺に、村長はいい笑顔で親指を立てた。
「安心しろ。エド様。俺ら村のもんは、みんなエド様の味方だ!」
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