上 下
119 / 311

あったかもしれない地獄※

しおりを挟む
「……あ……はひ……」

 肛門をみちみちに押し広げながら、瘤が入ってくる圧迫感と、亀頭が突き当たっていた部分からさらに奥……恐らくは結腸と呼ばれる部分を侵される衝撃で、恐らく俺は一瞬白目を剥いて気絶した。

「ふひっ!」

 けれど今度はその瘤が、前立腺を押しつぶしてきたから、たまらない。

「……あ……あう……ひふ……」

 口からは意味がわからない言葉が漏れ、口の端からダラダラよだれが溢れ落ちる。未知の感覚で頭がおかしくなりそうだ。

「……あと少しなのに、入らないな……少し動くぞ」

「……ふえ?……あぐぁっ!」

 小刻みに腰を動かさるたびに、結腸に続く弁がくぷくぷと開閉し、前立腺のところがゴリゴリ押しつぶされる。
 気持ちいいのか、苦しいのか、痛いのか、それらをひっくるめて気持ちいいのか。
 わからなくて、頭がパーンとぶっ飛びそうだ。

「……あと少し、あと少しだ、エディ……ほら」

「あがああああっ!」

「……全部、入ったぞ。くっ……」

 瘤が全て尻の中に入りこみ、アストルディアの下腹と俺の尻がピタリとくっついた瞬間、アストルディアは射精した。 
 亀頭が、結腸の弁をこじ開けたまま、腰の動きが止まり、前立腺も入りきった瘤でぎちぎちに潰されている状態で、アストルディアの強い魔力が流れこんできたのだ。自ずと触れられてない俺のちんこも、3度目の精を放っていた。

「あちゅい……アスティ……なか、あちゅいから、も、ぬいて……」

「……全部出しきって、瘤が萎むまで無理だ。最低でも、後30分はかかるだろうな」

「そんにゃ……」

 視界がぐるぐるして、呂律が回らない。
 そんな俺を後ろから愛おしそうに抱きながら、アストルディアがうなじを甘噛みする。

「……辛いなら、寝てもいいぞ。後始末はしておく」

 ーーちんこでガッツリ性感帯を刺激されたまま、寝れるか!
 と、大声で突っ込みたかったのだけど、なおも続く快感よりも疲労感の方が勝った。

「……ん……」

 結局俺はアストルディアにちんこをずっぷりハメられたまま、気を失うように、眠ってしまったのだった。



 ーー結局、こうなっちまったなあ。アスティ。

 戦争も差別もない世の中を夢見て、互いに必死に頑張ってきたけど……結局戦争は、止められなかった。
 俺は【国境の守護者】として。お前は【銀狼】として戦場に立って……お前に負けた俺は、片腕を失って惨めに地面に転がってる。 

 でもさ、アスティ……こうなってもなお、俺はお前と同じ夢を見たこと自体は、後悔はないんだよ。

 お前と同じ夢が見れて良かった。お前と親友になれて良かった。

 そして俺は、今日この瞬間をお前と迎えられたことを、神に感謝すらしている。

 ーーさあ、アスティ。約束を果たす時だ。
 俺を、殺してくれ。親友だろう?



 ……は?

 いきなり、何を……なれるわけないだろ。お前の番になんて。
 お前が俺の死を惜しんでくれる気持ちは嬉しいけど、俺はお前の番になってまで生きたくはないんだよ。
 俺を英雄として、殺してくれ。頼むよ。アスティ。

 ……アスティ?

 ーーお前、今、何をした。

 何だよ、この首輪……まさか、隷属の首輪じゃねぇよな。

 っふざけんな!
 こんな首輪をつけられたら、俺は魔法を使えないし、自死すらできない! 外せ、外せよ、クソ野郎っ!

 っは? 何が愛してるから死なせたくないだ。
 お前を親友だと思ってたから、言わなかったけど、はっきり言って気持ち悪ぃんだよ!
 俺はお前ら獣人とは違うんだ! 男同士なんかあり得ない!
 お前の気持ちなんか、一生受け入れることはないんだよ! だから、こんな首輪外せよ! 死なせろよ! ……頼むからっ……。



 ……違う。
 違う違う違う違う違う違う違う違う違うっ!
 俺は……俺は、実の弟に欲情する獣なんかじゃない……!
 仮にそうだったとしても、俺は無理やりレオをどうこうしようなんて思わない。
 お前らとは……お前とは違うんだよ! アストルディア!



 ……やめろ。やめてくれ。アスティ……。
 ……まだ、間に合う……まだ、引き返せるから。
 冷静になれ。ここは、戦場だぞ? 獣人の死体も、人間の死体も、ゴロゴロ転がっているんだ。それなのに…こんなの、正気の沙汰じゃない。

 頼むから……正気に戻ってくれ……お願いだよ。
 俺はお前を……憎みたくはないんだ。



 ーーっぐあああああああ!!!
 やめ、も……お願いだから……があっ!
 ……ふっ……うっうっ……。



 ……裏切り者。

 お前なんか、ヴィダルスと一緒だよ……いや、ヴィダルスより最悪だ。

 お前は俺の、たった一人の親友を殺したんだ。
 俺はお前が、誰よりも憎いよ。

 俺を生かしたこと……いつか必ず、後悔させてやる。

 いつか必ず、殺してやるからな。アストルディア。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

新しい道を歩み始めた貴方へ

mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。 そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。 その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。 あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。 あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……?

光る穴に落ちたら、そこは異世界でした。

みぃ
BL
自宅マンションへ帰る途中の道に淡い光を見つけ、なに? と確かめるために近づいてみると気付けば落ちていて、ぽん、と異世界に放り出された大学生が、年下の騎士に拾われる話。 生活脳力のある主人公が、生活能力のない年下騎士の抜けてるとこや、美しく格好いいのにかわいいってなんだ!? とギャップにもだえながら、ゆるく仲良く暮らしていきます。 何もかも、ふわふわゆるゆる。ですが、描写はなくても主人公は受け、騎士は攻めです。

【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます

夏ノ宮萄玄
BL
 オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。  ――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。  懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。  義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。

【BL】男なのになぜかNo.1ホストに懐かれて困ってます

猫足
BL
「俺としとく? えれちゅー」 「いや、するわけないだろ!」 相川優也(25) 主人公。平凡なサラリーマンだったはずが、女友達に連れていかれた【デビルジャム】というホストクラブでスバルと出会ったのが運の尽き。 碧スバル(21) 指名ナンバーワンの美形ホスト。博愛主義者。優也に懐いてつきまとう。その真意は今のところ……不明。 「僕の方がぜってー綺麗なのに、僕以下の女に金払ってどーすんだよ」 「スバル、お前なにいってんの……?」 冗談? 本気? 二人の結末は? 美形病みホスと平凡サラリーマンの、友情か愛情かよくわからない日常。

心からの愛してる

マツユキ
BL
転入生が来た事により一人になってしまった結良。仕事に追われる日々が続く中、ついに体力の限界で倒れてしまう。過労がたたり数日入院している間にリコールされてしまい、あろうことか仕事をしていなかったのは結良だと噂で学園中に広まってしまっていた。 全寮制男子校 嫌われから固定で溺愛目指して頑張ります ※話の内容は全てフィクションになります。現実世界ではありえない設定等ありますのでご了承ください

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

家を追い出されたのでツバメをやろうとしたら強面の乳兄弟に反対されて困っている

香歌奈
BL
ある日、突然、セレンは生まれ育った伯爵家を追い出された。 異母兄の婚約者に乱暴を働こうとした罪らしいが、全く身に覚えがない。なのに伯爵家当主となっている異母兄は家から締め出したばかりか、ヴァーレン伯爵家の籍まで抹消したと言う。 途方に暮れたセレンは、年の離れた乳兄弟ギーズを頼ることにした。ギーズは顔に大きな傷跡が残る強面の騎士。悪人からは恐れられ、女子供からは怯えられているという。でもセレンにとっては子守をしてくれた優しいお兄さん。ギーズの家に置いてもらう日々は昔のようで居心地がいい。とはいえ、いつまでも養ってもらうわけにはいかない。しかしお坊ちゃん育ちで手に職があるわけでもなく……。 「僕は女性ウケがいい。この顔を生かしてツバメをしようかな」「おい、待て。ツバメの意味がわかっているのか!」美貌の天然青年に振り回される強面騎士は、ついに実力行使に出る?!

告白ゲームの攻略対象にされたので面倒くさい奴になって嫌われることにした

雨宮里玖
BL
《あらすじ》 昼休みに乃木は、イケメン三人の話に聞き耳を立てていた。そこで「それぞれが最初にぶつかった奴を口説いて告白する。それで一番早く告白オッケーもらえた奴が勝ち」という告白ゲームをする話を聞いた。 その直後、乃木は三人のうちで一番のモテ男・早坂とぶつかってしまった。 その日の放課後から早坂は乃木にぐいぐい近づいてきて——。 早坂(18)モッテモテのイケメン帰国子女。勉強運動なんでもできる。物静か。 乃木(18)普通の高校三年生。 波田野(17)早坂の友人。 蓑島(17)早坂の友人。 石井(18)乃木の友人。

処理中です...