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親善試合②
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最悪な場合はそれも利用する覚悟は決めたが、かといって積極的に獣人から孕ませられたいわけではない。
しかも相手があのヴィダルスなら、よけいに。
……『次は絶対抱く』とか不吉な言葉言い残して以来、ストーカー行為がなくなったから、もしかしたら飽きたのかもって期待してたのに、単に強さを証明できる機会を待ってただけかよ~……。金髪碧眼で魔力が強くて、獣人に興味ある女の子探して紹介したら、諦めてくれねーかな。今の狼男の姿じゃアレだけど、アストルディアみたいに人化?したら、イケると思うんだよ。人型獣人皆美形らしいし。
「……試合にかこつけてうっかり殺しちまったら、どうなっかな」
「絶対やめてね。エディ。ランドルーク家を敵に回したくないし」
「だよな……」
頭を抱えてため息を吐く俺の姿に、クリスがニヤニヤと笑う。
「誑かして上手く利用してやればいいじゃん。多分一度抱かせれば、ああいう男は喜んで駒になってくれるよ? そんなに獣人のちんこ突っ込まれるの嫌?」
「……王族であるお前の口から、ちんこなんて言葉聞きたくなかったわ……獣人も何も、男に抱かれること自体普通嫌だろ」
「そう? 慣れれば気持ちいいよ?」
「………………は?」
思わず演技も忘れて、唖然とクリスを見つめてしまった。
こいつ……今、何て言った?
「やだなあ。妊娠の心配のない同性同士で性欲処理するなんて、リシス王国の貴族間では珍しくもないじゃん。ドリフィス教徒じゃなければ、同性愛の禁忌もないし。もしかしてエディ、知らなかったの?」
『エディは変な所、純情だから……』
「あからさま過ぎるブラッドリーの気持ちも、全然気づいてなかったっぽいしね。あ、もしかしてセネーバ来てから、僕らが性欲処理し合っているのも気づいてなかったり?」
『さすがのエディでもそれは……』
「いやいや、ジェフ。エディならあり得るって。観察眼は鋭いから女の子が向ける好意には聡い癖に、それが男同士になった途端に急にポンコツになるんだから」
……………………………は?
目の前で軽いノリで交わされる会話が理解できず、フリーズする。
いや、だからブラッドリーは同性愛者かもしれないけど、俺のことは普通に友達だと思っていて。
クリスとジェフは……え、じゃあこの部屋の魔力が気持ち悪いくらい混ざってるのって、そういうこと? いや、これは単にからかわれてるだけ? んん?
本当の場合、素直に知らなかったと言うのは悪手だし。からかわれている場合、気づいてたなんて主張すれば馬鹿を見る。
え、えーと……ここはひとまず、話を切り替えてだな。
「……二人とも。そんなくだらない話よりも、今は親善試合の話をしませんか?」
咄嗟に猫かぶり第一モードを発動してしまった途端、吹き出す二人の姿に、やっぱり自分はからかわれたのだと内心ひどく落ち込みながら、第二モードの猫を貼り付けなおしたのだった。
「…………はあ」
「どうした。エディ。さっきからため息を吐いて」
案の定、部屋に戻って寝る準備をするなりアストルディアが窓をコンコンしてきたので、窓を開けて招き入れていたのだが、どうやら自然とため息が漏れていたらしい。アストルディアが来たのが嫌だと勘違いされたくはないから、即否定すべく口を開く。
「いや、実はクリスとジェフが……」
……待てよ。クリスとジェフが本当にデキてるのか、からかっただけなのかもわからないのに、こんなことアストルディアに言っていいのか。そもそも誰と誰が付き合っているとか、勝手に広めるのまずいよな。
だいたい、男も女も関係ない獣人に、俺の戸惑いが理解できるとも思えんし。
やっぱ、余計なことは言わんとこ。
「……いや、何でも」
「……まさかお前、今さらクリスとジェフリーが番だと気づいたとか言わないよな」
「ぶわはっ!?」
思いがけないアストルディアの返事に、変な声がでた。
「な、な、なんで知って」
「まぐわってれば、獣人は臭いでわかる。そもそもあの二人、隠す気ないだろう」
あっさりとそう言ってのけたアストルディアは、無表情な癖に、心底残念なものを見てる感じが伝わる目で、俺を見た。
「……お前は本当にそう言った色事には疎いのだな。警戒心が欠如しているわけだ」
しかも相手があのヴィダルスなら、よけいに。
……『次は絶対抱く』とか不吉な言葉言い残して以来、ストーカー行為がなくなったから、もしかしたら飽きたのかもって期待してたのに、単に強さを証明できる機会を待ってただけかよ~……。金髪碧眼で魔力が強くて、獣人に興味ある女の子探して紹介したら、諦めてくれねーかな。今の狼男の姿じゃアレだけど、アストルディアみたいに人化?したら、イケると思うんだよ。人型獣人皆美形らしいし。
「……試合にかこつけてうっかり殺しちまったら、どうなっかな」
「絶対やめてね。エディ。ランドルーク家を敵に回したくないし」
「だよな……」
頭を抱えてため息を吐く俺の姿に、クリスがニヤニヤと笑う。
「誑かして上手く利用してやればいいじゃん。多分一度抱かせれば、ああいう男は喜んで駒になってくれるよ? そんなに獣人のちんこ突っ込まれるの嫌?」
「……王族であるお前の口から、ちんこなんて言葉聞きたくなかったわ……獣人も何も、男に抱かれること自体普通嫌だろ」
「そう? 慣れれば気持ちいいよ?」
「………………は?」
思わず演技も忘れて、唖然とクリスを見つめてしまった。
こいつ……今、何て言った?
「やだなあ。妊娠の心配のない同性同士で性欲処理するなんて、リシス王国の貴族間では珍しくもないじゃん。ドリフィス教徒じゃなければ、同性愛の禁忌もないし。もしかしてエディ、知らなかったの?」
『エディは変な所、純情だから……』
「あからさま過ぎるブラッドリーの気持ちも、全然気づいてなかったっぽいしね。あ、もしかしてセネーバ来てから、僕らが性欲処理し合っているのも気づいてなかったり?」
『さすがのエディでもそれは……』
「いやいや、ジェフ。エディならあり得るって。観察眼は鋭いから女の子が向ける好意には聡い癖に、それが男同士になった途端に急にポンコツになるんだから」
……………………………は?
目の前で軽いノリで交わされる会話が理解できず、フリーズする。
いや、だからブラッドリーは同性愛者かもしれないけど、俺のことは普通に友達だと思っていて。
クリスとジェフは……え、じゃあこの部屋の魔力が気持ち悪いくらい混ざってるのって、そういうこと? いや、これは単にからかわれてるだけ? んん?
本当の場合、素直に知らなかったと言うのは悪手だし。からかわれている場合、気づいてたなんて主張すれば馬鹿を見る。
え、えーと……ここはひとまず、話を切り替えてだな。
「……二人とも。そんなくだらない話よりも、今は親善試合の話をしませんか?」
咄嗟に猫かぶり第一モードを発動してしまった途端、吹き出す二人の姿に、やっぱり自分はからかわれたのだと内心ひどく落ち込みながら、第二モードの猫を貼り付けなおしたのだった。
「…………はあ」
「どうした。エディ。さっきからため息を吐いて」
案の定、部屋に戻って寝る準備をするなりアストルディアが窓をコンコンしてきたので、窓を開けて招き入れていたのだが、どうやら自然とため息が漏れていたらしい。アストルディアが来たのが嫌だと勘違いされたくはないから、即否定すべく口を開く。
「いや、実はクリスとジェフが……」
……待てよ。クリスとジェフが本当にデキてるのか、からかっただけなのかもわからないのに、こんなことアストルディアに言っていいのか。そもそも誰と誰が付き合っているとか、勝手に広めるのまずいよな。
だいたい、男も女も関係ない獣人に、俺の戸惑いが理解できるとも思えんし。
やっぱ、余計なことは言わんとこ。
「……いや、何でも」
「……まさかお前、今さらクリスとジェフリーが番だと気づいたとか言わないよな」
「ぶわはっ!?」
思いがけないアストルディアの返事に、変な声がでた。
「な、な、なんで知って」
「まぐわってれば、獣人は臭いでわかる。そもそもあの二人、隠す気ないだろう」
あっさりとそう言ってのけたアストルディアは、無表情な癖に、心底残念なものを見てる感じが伝わる目で、俺を見た。
「……お前は本当にそう言った色事には疎いのだな。警戒心が欠如しているわけだ」
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