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エドワード17歳、二重猫かぶり王子期①
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「きゃ! エドワード様だわ! いつ見ても本当麗しいお姿ね。クリストファー殿下には申し訳ないけど、エドワード様の方が王子様に見えるわ」
「クリス殿下もとても愛らしい御方なのだけど、どうしてもエドワード様と比べてしまうとね。波打った金色の髪に、空のように青い瞳。物越しの柔らかい紳士的な態度……あの方が辺境の田舎出身だなんて、とても信じられないわ!」
「でも未開の辺境の地で生まれたからこそ、今のエドワード様があるのよ! 幼い頃から民の為に尽力して、身分を隠して魔物退治をされたり辺境を発展させるアイデアを広めたりして、昔からは信じられないくらい辺境の土地を豊かにされたのだって!」
「あまりにも幼すぎるから公表されなかったけど、ネルドゥース芋やネルドゥース豆を発見されたのも実はエドワード様だって噂よ! あれのおかげで例年なら不作になるような年でも民を飢えさせないで済んだって、お父様がすごく感謝していたわ!」
「エドワード様はとても礼儀正しい御方だから、平民相手でもいつも敬語で話されるって知ってらっしゃる? ただの男爵令嬢に過ぎない私にも、いつも貴婦人のように接してくださるし……こんな御方、王都の貴族では誰もいないわ。子爵の家の方でも、あからさまに見下してくることもあるのに」
「本当に素敵な御方……私あの方の為なら、辺境にだって喜んで嫁ぐわ!」
現在貴族学校四年生の俺こと、エドワード・ネルドゥース17歳。
あからさまに、貴族令嬢のお嬢様方にモテまくっております。
……ふははは! 悪いなクリス! 童顔なお前より、あからさまな王子顔で!
母親に似た美貌は、年を経て中性的ながらも女に間違えられないくらいは男らしく。しなやかな筋肉がついた体は細身ながらも、食料事情が乏しかったこの国の平均身長を遥かに上回る178センチまですくすく伸び。
猫をかぶりすぎて、もはや息を吸うように王子様的な紳士行動が取れる俺に、一分の隙もなーい!
今や俺は、ここ学校一のモテ男と言っても良いだろう。お嬢様方の視線が熱いぜ!
……まあ、だからと言って付き合えるかといったら、そういうわけじゃないですけど。結婚前に婚前交渉するのは、隠れてやっている奴も少なくないとはいえ、倫理的にはアウトだし。付き合った瞬間、既成事実を作られてガッツリ婚約者ポジションに収まられたりなんてしたら、本人の希望だとしてもかわいそうだし。だって俺、運命改変できなきゃ、片腕失って故郷滅びたうえに獣人から性奴隷堕ちさせられて孕まされる悪役よ? そんな男の婚約者とか……普通にかわいそ過ぎる。そもそも俺、前世の記憶思い出した時点でお犬様以外に大切なものは作らないようにセーブしてるし。
そんなわけで、激モテしてるのにも関わらず、現在俺はバリバリの童貞です!
……やだなあ。童貞のままケツ処女失う可能性もあんのかー……娼館でもいいからできれば戦争までに童貞だけは捨てときたいんだけど、俺が娼館行ったこと噂になっても困るしな。うう……誰も俺を知らない土地の娼館で、綺麗なお姉さんに俺の童貞もらってもらいたい。
「おい、エドワード! あの噂、本当なのか!?」
きゃっきゃ騒ぐお嬢様方の会話は聞こえないふりをして、密かに人生を儚んでいたが、不意に目の前に立ちふさがった男の馬鹿でかい声で我に返った。
染めた金髪を刈り上げて金と黒のツートンカラーになった、ファンタジーの貴族学校に似合わない不良じみた姿のこの男の名前は、ブラッドリー・パトリオット。
まさかのびっくり、大貴族であるパトリオット公爵家の三男坊だったりする。
良いとこの坊ちゃんの癖に冒険者に憧れて不良っぽい態度をとってるのが面白いし、味方にできたら役に立つかもと入学した頃から積極的に構ってたら、なんか懐かれて今に至る。
「どうしましたか。ブラッド。噂って?」
にっこりと柔らかい笑みを向けると、くしゃりと顔を歪めたブラッドリーが、俺を睨みながら胸ぐらを掴んできた。
周囲の貴族令嬢から悲鳴があがるが、俺としては威勢のよい子犬が必死に威嚇してるなあ、くらいにしか思わん。睨みつけながらもブラッドリー、半泣きだし。……ははん。これはあの噂聞いたか。
「来年度からクリスとジェフと一緒に、セネーバに留学するって噂だよ!」
「クリス殿下もとても愛らしい御方なのだけど、どうしてもエドワード様と比べてしまうとね。波打った金色の髪に、空のように青い瞳。物越しの柔らかい紳士的な態度……あの方が辺境の田舎出身だなんて、とても信じられないわ!」
「でも未開の辺境の地で生まれたからこそ、今のエドワード様があるのよ! 幼い頃から民の為に尽力して、身分を隠して魔物退治をされたり辺境を発展させるアイデアを広めたりして、昔からは信じられないくらい辺境の土地を豊かにされたのだって!」
「あまりにも幼すぎるから公表されなかったけど、ネルドゥース芋やネルドゥース豆を発見されたのも実はエドワード様だって噂よ! あれのおかげで例年なら不作になるような年でも民を飢えさせないで済んだって、お父様がすごく感謝していたわ!」
「エドワード様はとても礼儀正しい御方だから、平民相手でもいつも敬語で話されるって知ってらっしゃる? ただの男爵令嬢に過ぎない私にも、いつも貴婦人のように接してくださるし……こんな御方、王都の貴族では誰もいないわ。子爵の家の方でも、あからさまに見下してくることもあるのに」
「本当に素敵な御方……私あの方の為なら、辺境にだって喜んで嫁ぐわ!」
現在貴族学校四年生の俺こと、エドワード・ネルドゥース17歳。
あからさまに、貴族令嬢のお嬢様方にモテまくっております。
……ふははは! 悪いなクリス! 童顔なお前より、あからさまな王子顔で!
母親に似た美貌は、年を経て中性的ながらも女に間違えられないくらいは男らしく。しなやかな筋肉がついた体は細身ながらも、食料事情が乏しかったこの国の平均身長を遥かに上回る178センチまですくすく伸び。
猫をかぶりすぎて、もはや息を吸うように王子様的な紳士行動が取れる俺に、一分の隙もなーい!
今や俺は、ここ学校一のモテ男と言っても良いだろう。お嬢様方の視線が熱いぜ!
……まあ、だからと言って付き合えるかといったら、そういうわけじゃないですけど。結婚前に婚前交渉するのは、隠れてやっている奴も少なくないとはいえ、倫理的にはアウトだし。付き合った瞬間、既成事実を作られてガッツリ婚約者ポジションに収まられたりなんてしたら、本人の希望だとしてもかわいそうだし。だって俺、運命改変できなきゃ、片腕失って故郷滅びたうえに獣人から性奴隷堕ちさせられて孕まされる悪役よ? そんな男の婚約者とか……普通にかわいそ過ぎる。そもそも俺、前世の記憶思い出した時点でお犬様以外に大切なものは作らないようにセーブしてるし。
そんなわけで、激モテしてるのにも関わらず、現在俺はバリバリの童貞です!
……やだなあ。童貞のままケツ処女失う可能性もあんのかー……娼館でもいいからできれば戦争までに童貞だけは捨てときたいんだけど、俺が娼館行ったこと噂になっても困るしな。うう……誰も俺を知らない土地の娼館で、綺麗なお姉さんに俺の童貞もらってもらいたい。
「おい、エドワード! あの噂、本当なのか!?」
きゃっきゃ騒ぐお嬢様方の会話は聞こえないふりをして、密かに人生を儚んでいたが、不意に目の前に立ちふさがった男の馬鹿でかい声で我に返った。
染めた金髪を刈り上げて金と黒のツートンカラーになった、ファンタジーの貴族学校に似合わない不良じみた姿のこの男の名前は、ブラッドリー・パトリオット。
まさかのびっくり、大貴族であるパトリオット公爵家の三男坊だったりする。
良いとこの坊ちゃんの癖に冒険者に憧れて不良っぽい態度をとってるのが面白いし、味方にできたら役に立つかもと入学した頃から積極的に構ってたら、なんか懐かれて今に至る。
「どうしましたか。ブラッド。噂って?」
にっこりと柔らかい笑みを向けると、くしゃりと顔を歪めたブラッドリーが、俺を睨みながら胸ぐらを掴んできた。
周囲の貴族令嬢から悲鳴があがるが、俺としては威勢のよい子犬が必死に威嚇してるなあ、くらいにしか思わん。睨みつけながらもブラッドリー、半泣きだし。……ははん。これはあの噂聞いたか。
「来年度からクリスとジェフと一緒に、セネーバに留学するって噂だよ!」
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