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アディ(偽名)くん、13歳の無双①
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「……養殖場の調子はどうですか。ディック」
「あ、アディ様! 順調ですよ。見てください! このブーリ魚のまるまる太っていること!」
お犬様と運命の出会いを果たしてから五年。
13歳の俺は、溜まりに溜まった魔物の素材を元手に、アディという偽名で魚の養殖場を運営しています☆
いやー。金がどんどん増えていって困るわー。
「最近は色んな所からうちのブーリ魚を買いたいという問い合わせが殺到して……セネーバにいつ流れつくか怯えながら生活してた五年前からは考えられないくらいの儲けっぷりですよ。本当、アディ様様です!」
そう言って拝むように手を合わせる中年ディックは、五年前までは辺境伯領最凶の不人気職、漁師をやっていた男だ。
セネーバが海から船で攻めて来ないように魔法じじいが海流を調整した結果、辺境伯領の海岸から船を出すと常にセネーバの方に流されるリスクを負わなければならなくなった。できる限りレンリネド側である他領の方に船を出したくても、他領の漁師がうるさく、下手に領域を侵したら海賊扱いで攻撃される始末。結果、自領の近海ばかりを漁場にするようになり、魚がみんな逃げて獲れなくなってしまった。
そんな事情だからこそ、せっかくの海があるのに我が辺境伯領で漁師を営むものは少なかった。結果、辺境伯領で出回る魚は、他領から仕入れた日持ちする干物ばかりに。
新鮮な魚に慣れ親しんだ元日本人の俺氏。ある日、ふと閃いた。魚を獲りにいけないならば、養殖すればいいじゃないか、と。
魔法じじいによって海流が常にリシス王国からセネーバの方に流れている状態だが、俺くらいの風魔法の使い手なら問題ない。
ディックをはじめとした良識ある海の男達が引き止めるのを聞かずに、単身で船を出して沖合に行き、悪食で、海岸付近の環境でも問題なく育ち、そして美味しい魚を鑑定さんで探して捕獲した。できればお刺身も食べたいので、生食に向いてるかも重視した。
その結果養殖に最適だと判明したのが、ブーリ魚である。
上品な白身で、程よくとろける脂。煮ても焼いても生でも揚げても美味しいその魚は、まあ地球でいうところの鰤だった。生態と見た目は全然違うけど。頭に角生えてるし。(カジキのアレでないぞ。ガチ角が3本頭に生えてる)
このブーリ魚の最大の長所は植物だろうが、地上で取れる虫だろうが、生ゴミだろうが何でもバクバク食ってぶくぶく太ってくれること。まあ、生ゴミ食べさせると、どうしたって身に生臭さが出てきて質は下がるんだけど。
そこで、前世でみたテレビ番組を唐突に思い出した俺。ミカンの皮を食べさせたりして身に香りをつけて丹精に育てた養殖鰤は、ブランド鰤として天然物より高く売れるらしい。
海岸付近に檻で囲った養殖場を作り、中に放ったブーリ魚に、ジュース業者からただで仕入れた絞った果物の皮を粉砕したものとタンパク質補うためのネーバ豆を豆腐に加工した後の絞り滓(もちろん豆腐は俺が開発して広めました)と混ぜて与えさせてみたところ、果物の香りがして脂がさっぱり爽やかな天然物より美味しいブーリ魚になったのです! 俺、すごい! さすチート!
さらにさらに、俺はクリストファー殿下という最強のつてまでありまして。
とりあえず献上品として品質の良いブーリ魚をとれとれ新鮮な状態でダンテに転移させてクリストファー殿下のとこに持って行かせたところ。転移魔法を使える王宮魔法士が定期的にパシられて購入に来る、王室御用達商品になりました! パフパフ~。
他にも今まで捨てられていた海藻の調理法を広めたり、干した昆布っぽい海藻をダシにすること勧めたりして、辺境伯領の海岸一帯の人々に貢献しているというわけです!
……まあ、昆布だしは(ブーリ魚節から取ったダシとセットで)じわじわ広まっているとはいえ、海藻=飢饉の時に食べるものってイメージのせいで、海藻料理の方はあまり成果は出てませんが。
くそっ……テングサっぽいの見つけて寒天チートするか、海苔っぽいのやアボカドっぽいのでカリフォルニア巻広めて海藻のイメージ変えてやる……!
ちなみに豆腐は甘いシロップをかけた新食感デザートとしてネルドゥース領で広まってます。ちくせう!
「あ、アディ様! 順調ですよ。見てください! このブーリ魚のまるまる太っていること!」
お犬様と運命の出会いを果たしてから五年。
13歳の俺は、溜まりに溜まった魔物の素材を元手に、アディという偽名で魚の養殖場を運営しています☆
いやー。金がどんどん増えていって困るわー。
「最近は色んな所からうちのブーリ魚を買いたいという問い合わせが殺到して……セネーバにいつ流れつくか怯えながら生活してた五年前からは考えられないくらいの儲けっぷりですよ。本当、アディ様様です!」
そう言って拝むように手を合わせる中年ディックは、五年前までは辺境伯領最凶の不人気職、漁師をやっていた男だ。
セネーバが海から船で攻めて来ないように魔法じじいが海流を調整した結果、辺境伯領の海岸から船を出すと常にセネーバの方に流されるリスクを負わなければならなくなった。できる限りレンリネド側である他領の方に船を出したくても、他領の漁師がうるさく、下手に領域を侵したら海賊扱いで攻撃される始末。結果、自領の近海ばかりを漁場にするようになり、魚がみんな逃げて獲れなくなってしまった。
そんな事情だからこそ、せっかくの海があるのに我が辺境伯領で漁師を営むものは少なかった。結果、辺境伯領で出回る魚は、他領から仕入れた日持ちする干物ばかりに。
新鮮な魚に慣れ親しんだ元日本人の俺氏。ある日、ふと閃いた。魚を獲りにいけないならば、養殖すればいいじゃないか、と。
魔法じじいによって海流が常にリシス王国からセネーバの方に流れている状態だが、俺くらいの風魔法の使い手なら問題ない。
ディックをはじめとした良識ある海の男達が引き止めるのを聞かずに、単身で船を出して沖合に行き、悪食で、海岸付近の環境でも問題なく育ち、そして美味しい魚を鑑定さんで探して捕獲した。できればお刺身も食べたいので、生食に向いてるかも重視した。
その結果養殖に最適だと判明したのが、ブーリ魚である。
上品な白身で、程よくとろける脂。煮ても焼いても生でも揚げても美味しいその魚は、まあ地球でいうところの鰤だった。生態と見た目は全然違うけど。頭に角生えてるし。(カジキのアレでないぞ。ガチ角が3本頭に生えてる)
このブーリ魚の最大の長所は植物だろうが、地上で取れる虫だろうが、生ゴミだろうが何でもバクバク食ってぶくぶく太ってくれること。まあ、生ゴミ食べさせると、どうしたって身に生臭さが出てきて質は下がるんだけど。
そこで、前世でみたテレビ番組を唐突に思い出した俺。ミカンの皮を食べさせたりして身に香りをつけて丹精に育てた養殖鰤は、ブランド鰤として天然物より高く売れるらしい。
海岸付近に檻で囲った養殖場を作り、中に放ったブーリ魚に、ジュース業者からただで仕入れた絞った果物の皮を粉砕したものとタンパク質補うためのネーバ豆を豆腐に加工した後の絞り滓(もちろん豆腐は俺が開発して広めました)と混ぜて与えさせてみたところ、果物の香りがして脂がさっぱり爽やかな天然物より美味しいブーリ魚になったのです! 俺、すごい! さすチート!
さらにさらに、俺はクリストファー殿下という最強のつてまでありまして。
とりあえず献上品として品質の良いブーリ魚をとれとれ新鮮な状態でダンテに転移させてクリストファー殿下のとこに持って行かせたところ。転移魔法を使える王宮魔法士が定期的にパシられて購入に来る、王室御用達商品になりました! パフパフ~。
他にも今まで捨てられていた海藻の調理法を広めたり、干した昆布っぽい海藻をダシにすること勧めたりして、辺境伯領の海岸一帯の人々に貢献しているというわけです!
……まあ、昆布だしは(ブーリ魚節から取ったダシとセットで)じわじわ広まっているとはいえ、海藻=飢饉の時に食べるものってイメージのせいで、海藻料理の方はあまり成果は出てませんが。
くそっ……テングサっぽいの見つけて寒天チートするか、海苔っぽいのやアボカドっぽいのでカリフォルニア巻広めて海藻のイメージ変えてやる……!
ちなみに豆腐は甘いシロップをかけた新食感デザートとしてネルドゥース領で広まってます。ちくせう!
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