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クソったれな俺の両親②
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嫌ねー。嫌だわー。この脳筋うんこお父様はいつだってこう。
自分は領主をやってて、一応は俺も辺境伯嫡男として扱っている癖に、俺を未来の辺境伯領主として育てようとはしない。
こいつが俺に求めているのは、絶対的力を持った兵士になること。獣人に打ち勝つ英雄として育てようとするばかりで、辺境伯領を治める統治者としての勉強は、基礎的なことしか習得させてくれない。
俺が庶子で、領主として優秀な別な後継ぎとかがいるならわかるよ? でも今のとこ子どもは俺だけで、下の弟か妹はまだ腹の中にいる状態。しかも同腹。
それなのに、よくもまあこんな偏った教育をしようと思えるもんだよな。まるで最初から、俺が辺境伯領を継ぐ未来なんてないと思っているみたいに。
「……何度も言いましたが、私一人が強くてもセネーバには勝てません」
口の中の血を吐き捨てて、まっすぐに虐待クソ野郎を睨みつける。
聖魔法を使えば即治療できるけど、それをすれば火に油を注ぐだけなのはわかっているので、敢えて使わない。
「辺境伯領の食糧事情が改善すれば、その分軍事費に予算を回すことができるはずです。……領主として正しい選択をなさってください。父上」
こいつは父親としては暴力で息子を押さえつける最低の野郎だが、辺境伯領主としてはけして無能ではない。王都よりも土地が痩せたこの辺境で、軍事費に予算の大半を費やしている癖に、領民がそこまで困窮していないのがその証拠だ。もしこの芋と豆を持ってきたのが俺以外の人間であれば、たとえそれがどんな身分の人間であっても、まずはきちんと話を聞いて一考していただろう。
俺を殴って少し頭が冷えたのか、クソ辺境伯様は不愉快そうに舌打ちをして、俺から視線を反らした。
「……明日、植物に詳しいものをお前のもとに送るから、詳細を話せ。ただし、明日以降この件にお前が関わることは許さん」
「……ありがとうございます。父上」
まあ、この虐待うんこ親父が譲歩できる落としどころは、ここまでだろう。必要なら、裏から手を回すなりしてこっそり関わればいいし。その為にはまず、明日こいつが送って来る奴と親しくなる必要がありそうだな。
話は終わったとばかりに書類を読みだしたうんこ親父殿に一礼して、部屋を出る。……師匠に会う前に、一応母上にも挨拶に行くか。弟か妹の様子見も兼ねて。
乱れた髪を整えて、母上の部屋の扉をノックすると少女のようにかわいらしい声が返ってきた。
「はい、どうぞ~」
「……失礼いたします」
「あら、エドワード。久しぶりね~」
ふわふわと波打つ金色の髪に、きらきらと輝く青い瞳。
俺とそっくりな美しい容姿を持つその人は、大きくなったお腹を抱えながら、ひどくあどけない笑みを浮かべた。
「しばらくお出かけしていたのよね? 何かお土産でも持って来てくれたのかしら?」
……明らかに殴られた感じに頬を腫らした八歳の息子を前にした第一声がこれである。
虐待クソ親父がやばいのは前世の記憶を思い出す前から気づいていたが、母上は母上で大概にやばい。頭の中がお花畑で、自分が生きる小さな世界にしか興味がないのだから。
「そうですね。……珍しい花を見つけましたので、どうぞ」
「わあ、綺麗。髪に飾ってもいいかしら?」
「俺が飾りますね。母上がすると、花びらが全て散ってしまうでしょうから」
王族の血統である母上は、微笑む以外何もできない人だ。全てを人にやってもらうのが当たり前で、母親らしいことも辺境伯夫人しいことも何もできないし、しようともしない。
その代わり派手な衣装にも娯楽にも贅沢にも一切興味がなく、ただ花や自然を愛で、与えられるものを素直に享受し、いつもにこにこと微笑んでいる。健康で美しいだけの、子どもが産めるお人形。
俺が亜空間から花を取り出したことに驚く様子も見せず、髪に花を飾った姿を鏡に映して無邪気にはしゃぐ母上の姿に、ひそかにため息を吐く。
ほぼ自然しかない辺境伯領に一切不満を言わずに嫁いで、清貧を甘んじてくれていることや、クソ親父の性格を考えれば、限りなく最良なパートナーと言えるかもしれない。だが、子どもである俺たちはなかなかの不幸だ。原作エドワードが息子に性的虐待をくわえた一因は、この両親にあるのではと思うくらいには。
……まだ見ぬ弟か妹よ。お前のことは兄ちゃんが親代わりでかわいがってやるからな。頼むから、両親の影響を受けずにまっすぐ育っておくれ。
母体の調子が健やかなことだけ確かめて、部屋を出る。扉を開けた瞬間Wジジイの姿が目に入って思わず扉を閉めそうになったが、物理と魔法で阻止された。
「「獣人の身体強化を弱体化させる方法が見つかったって、本当か!?」」
ユニゾンしわがれ声で尋ねられ、思わず顔が歪んだ。
単体でも厄介なのに、よりによって二人同時かよ~。普段仲悪い癖に、こういう時だけ気が合うから、困る。
「……取り合えず、えーっと、俺の部屋に……」
自分は領主をやってて、一応は俺も辺境伯嫡男として扱っている癖に、俺を未来の辺境伯領主として育てようとはしない。
こいつが俺に求めているのは、絶対的力を持った兵士になること。獣人に打ち勝つ英雄として育てようとするばかりで、辺境伯領を治める統治者としての勉強は、基礎的なことしか習得させてくれない。
俺が庶子で、領主として優秀な別な後継ぎとかがいるならわかるよ? でも今のとこ子どもは俺だけで、下の弟か妹はまだ腹の中にいる状態。しかも同腹。
それなのに、よくもまあこんな偏った教育をしようと思えるもんだよな。まるで最初から、俺が辺境伯領を継ぐ未来なんてないと思っているみたいに。
「……何度も言いましたが、私一人が強くてもセネーバには勝てません」
口の中の血を吐き捨てて、まっすぐに虐待クソ野郎を睨みつける。
聖魔法を使えば即治療できるけど、それをすれば火に油を注ぐだけなのはわかっているので、敢えて使わない。
「辺境伯領の食糧事情が改善すれば、その分軍事費に予算を回すことができるはずです。……領主として正しい選択をなさってください。父上」
こいつは父親としては暴力で息子を押さえつける最低の野郎だが、辺境伯領主としてはけして無能ではない。王都よりも土地が痩せたこの辺境で、軍事費に予算の大半を費やしている癖に、領民がそこまで困窮していないのがその証拠だ。もしこの芋と豆を持ってきたのが俺以外の人間であれば、たとえそれがどんな身分の人間であっても、まずはきちんと話を聞いて一考していただろう。
俺を殴って少し頭が冷えたのか、クソ辺境伯様は不愉快そうに舌打ちをして、俺から視線を反らした。
「……明日、植物に詳しいものをお前のもとに送るから、詳細を話せ。ただし、明日以降この件にお前が関わることは許さん」
「……ありがとうございます。父上」
まあ、この虐待うんこ親父が譲歩できる落としどころは、ここまでだろう。必要なら、裏から手を回すなりしてこっそり関わればいいし。その為にはまず、明日こいつが送って来る奴と親しくなる必要がありそうだな。
話は終わったとばかりに書類を読みだしたうんこ親父殿に一礼して、部屋を出る。……師匠に会う前に、一応母上にも挨拶に行くか。弟か妹の様子見も兼ねて。
乱れた髪を整えて、母上の部屋の扉をノックすると少女のようにかわいらしい声が返ってきた。
「はい、どうぞ~」
「……失礼いたします」
「あら、エドワード。久しぶりね~」
ふわふわと波打つ金色の髪に、きらきらと輝く青い瞳。
俺とそっくりな美しい容姿を持つその人は、大きくなったお腹を抱えながら、ひどくあどけない笑みを浮かべた。
「しばらくお出かけしていたのよね? 何かお土産でも持って来てくれたのかしら?」
……明らかに殴られた感じに頬を腫らした八歳の息子を前にした第一声がこれである。
虐待クソ親父がやばいのは前世の記憶を思い出す前から気づいていたが、母上は母上で大概にやばい。頭の中がお花畑で、自分が生きる小さな世界にしか興味がないのだから。
「そうですね。……珍しい花を見つけましたので、どうぞ」
「わあ、綺麗。髪に飾ってもいいかしら?」
「俺が飾りますね。母上がすると、花びらが全て散ってしまうでしょうから」
王族の血統である母上は、微笑む以外何もできない人だ。全てを人にやってもらうのが当たり前で、母親らしいことも辺境伯夫人しいことも何もできないし、しようともしない。
その代わり派手な衣装にも娯楽にも贅沢にも一切興味がなく、ただ花や自然を愛で、与えられるものを素直に享受し、いつもにこにこと微笑んでいる。健康で美しいだけの、子どもが産めるお人形。
俺が亜空間から花を取り出したことに驚く様子も見せず、髪に花を飾った姿を鏡に映して無邪気にはしゃぐ母上の姿に、ひそかにため息を吐く。
ほぼ自然しかない辺境伯領に一切不満を言わずに嫁いで、清貧を甘んじてくれていることや、クソ親父の性格を考えれば、限りなく最良なパートナーと言えるかもしれない。だが、子どもである俺たちはなかなかの不幸だ。原作エドワードが息子に性的虐待をくわえた一因は、この両親にあるのではと思うくらいには。
……まだ見ぬ弟か妹よ。お前のことは兄ちゃんが親代わりでかわいがってやるからな。頼むから、両親の影響を受けずにまっすぐ育っておくれ。
母体の調子が健やかなことだけ確かめて、部屋を出る。扉を開けた瞬間Wジジイの姿が目に入って思わず扉を閉めそうになったが、物理と魔法で阻止された。
「「獣人の身体強化を弱体化させる方法が見つかったって、本当か!?」」
ユニゾンしわがれ声で尋ねられ、思わず顔が歪んだ。
単体でも厄介なのに、よりによって二人同時かよ~。普段仲悪い癖に、こういう時だけ気が合うから、困る。
「……取り合えず、えーっと、俺の部屋に……」
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