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第三章

ティファはハイトに伝えたい

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「ハイトは自分を迎えに行ったのね」

「自分を・・迎えに・・・」

ハイトさんのお母さんは、とても気さくで話しやすい人でした。

あれ以来、彼女と話す事は出来ていませんが、時折ああやって誰かに語りかけては暇を潰しているんです、とハイトさんのお父さんが笑って言ってました。

ハイトさんとそっくりな顔で・・・・。

「よいしょっと。すっかり小さくなっちゃいましたね?」

サンチコアからでもよく見えた大樹の木は、今では殆ど枯れて崩れてしまいました。残ったのはこの一本だけです。

「今日はお父さんが新しい魔法を使って実験するらしいです。ハイトさんも見えてるといいんですけど・・・」

そうそう!
オスカールとの戦は、ちゃんと私達が勝ちました!
アズラエルの門の件で迷惑をかけられた責任を取ってもらう事で、とりあえず決着しました。あと、オスカールから入ってくる商品が大分安くなるみたいです!
それはとても助かりますね!ココア高過ぎなんですよ!!

ただ、しばらくこちらに捕らえていた、オスカール国の騎士隊長さんが、顔を合わす度私に求婚するので、正直とっても困りました。オスカールにも変な人、多いんですね?

「今日もちゃんとお弁当作ってきましたよ。ハイトさんも食べれたらいいんですけど・・・」

私にも強い魔力があるはずなんですが、この状態のハイトさんとはお話出来ません。ハイトさんのお母さんみたいに夢だけでも会えたらいいのに。

「うん!美味しいです!!」

ハイトさんを待つようになって、私、大樹の気持ちが少しだけ分かりました。
待つのってとても大変なんですね。
どんな危険な場所にいたとしても、こちらから迎えに行ける方がずっと楽なんだって思います。

「大丈夫ですよ?私、ちゃんと待ってます」

ハイトさんも、ずっと私を待ってくれてましたもんね?

私がちゃんと自分の気持ちに気付くまで、ずっと待ってくれるつもりだったんでしょう?

だから、今度は私がハイトさんの事、待ちます!!

・・・・・でも、やっぱり。

「寂しい・・・・」

会いたいです。ハイトさん。

「・・・・あ」

今、下の方から何か打ち上げられたみたいです。
あれはお父さんの魔法でしょうか?わぁ!!



「綺麗だね。空に花が咲いた」

・・・・はい!とても綺麗ですね!

流石お父さん!!あんな事出来るなんて凄いです!

「それにしても。デズロ様、そんな暇なの?それなら仕事に復帰すればいいのにね?ササラ様が可哀想・・・」

「アハハ!そうですねぇ・・グスッ・・でも、ずっと働きっぱなしだったから、遊び足りないみたいです・・グスン」

「羨ましいなぁ。僕もしばらく、遊んで暮らしたいなぁ。ティファと」

そうですね。
ハイトさんもきっと、今までお忙しかったでしょうから。少しくらいなら休んでもいいんじゃないですか?

「ハイトさ・・・・」

「待った!今はまだ振り向かないで!」

え?でも、私顔が見たいんですが?

「あの、ハイトさん・・・」

「うん?」

「もしかして、今。裸です?」

「そうだね。見事に何も身につけてないね?」

わぁ。じゃあこのお父さんのローブ貸してあげます。
これなら少しは隠せると思うので!

だから・・・顔見せて下さい!!

「・・・・ティファ・・・」

「ハイトさん!」

私、ハイトさんが連れて行かれてから、ずっと後悔していました。あの時ちゃんとハイトさんに伝えなかった事。

だから、帰って来たら真っ先に言おうって決めてたんです!!

「好きです。大好き!!」

ちゃんと伝わりました?伝わりましたよね?
これ、ちゃんとした好きです!!
特別なハイトさんにだけの、好きですから!!

「うん、ティファ。僕も好きだ」

ヒュルルルルル・・・・・ドーーーーーン!

「泣かないで。笑って、ティファ!」

「はい!!泣いてません!」

だって泣く必要なんてないですからね!

これからは、ずっと一緒にいられます!ハイトさんの隣でハイトさんの為に美味しい料理一杯作ります!!
それを、想像するだけでワクワクしますから!!

ハイトさんの温もりを今度はちゃんと感じられます。
かんじ・・・られ・・ふにゃーーーー!!!

「ふぁ!!ハ、ハイトさん。あの、長いです!ちょっと一回離れましょうか?」

「ところでさぁ?ティファ。君は、なんで僕以外の男から求婚されていたのかな?」

んんん?なんでしょう?これは何やら雲行きが?

「しかもあんなに、しつこくされてたのに。君普通に接していたよね?嫌がりもせず。もしかしてアイツも好みなの?」

「はい?違いますよ?あの方も若干脳味噌が筋肉に覆われているようだったので、マトモに相手をしても無駄かな?と思っていただけで・・・」

「君がしっかり態度で示さないから、あの男完全に行けるって勘違いしてたよ?僕も君のあの態度はどうかと思って見てた!!」

え?見てたんですか?アレをずっと?あちゃー!

「き、気にし過ぎです!わ、私何とも思ってませんでしたし・・・ハ、ハイトさんがいますし・・・」

「分かってても嫌なものは嫌だ!もう絶対二度と僕以外の男に触られたりしないように!!」

「そ、そんな無茶な!ハ、ハイトさんって実はやきもち妬きなんですか?」

アレ?ハイトさん?ちょっ!また顔近づけ・・・んむぅー!!!

「そうだよ!!僕は凄くやきもち妬きだし束縛するからね!!覚えておいて!」

「え?ええ~?」

い、意外です。
ハイトさん今までそんな素振り見せなかったと思うのですが?え?私が鈍かっただけです?

「あ。ハイトさん、お弁当食べます?」

「・・・・思い切り話を逸らしたね?でも食べる!!」

これを食べたら直ぐに下に降りましょうね?

その、流石にずっとその姿で居られると、目のやり場に困ってしまいますので・・・・。

「あ~美味しい~。久しぶりのティファのご飯」

「良かったです。これからはずっと、そのご飯食べられますから」

ん?ハイトさん何ですか?その顔。
何か変な事言いました?私。

「・・・・うん。毎日作って。僕、毎日ティファのご飯食べたい」

「はい。食べて下さい!私、毎日ハイトさんに、料理を作りたいです!」

そうやって、今度こそずっと一緒にいましょう!
5年先、10年先、その先までずっと!!
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