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引退試合後

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 私達の引退試合は、1セット目23対25で負け、2セット目24対26で、負けた。しかし、私達にとっては大きな成果だった。私のチームはホントの弱小チームで、勝った数より負けた数のほうが多い。そんな私達が、そこそこ強めのチームに2点差まで、ゲームを持ち込めている。嬉しいようで、とても悔しかった。
 そして、私達は先生のもとへ集合した。今まで見てくれた先生に感謝を言おう、みたいな流れになっていて、自分は言うことないなと思っていた。
「先生今まで、ありがとうございました!」
「「ありがどうごさいまきた!」」
皆は心からだろうが、私だけは言わなければならないなら言う、と言う漢字だった。
 1、2年と別れたあと、私達は先生のもとにまた集まった。私は何をするのかと疑問に思っていたのだが、その疑問はチームメイトの発言によってかき消された。
「先生…ほんと…私はレシーブが下手で…そして、わがままで本当にすいませんでした…………今までありがとうございました………」
彼女の涙を浮かべながら発した言葉を聞いて、川崎先生は涙1つも見せずに、いつもの顔で普通に受け答えしていった。ついに、私の番が来てしまった。どうしたものか…。私は考えに考え抜いてこう答えた。嘘泣きを混ぜつつ…。
「先生、今までたくさん迷惑かけてしいませんでした。これから、1、2年生をよろしくおねがいします……」
そう、自分のことにはあまり触れず、しかし、反省しているようにも聞こえる。これこそ、一番いい答え方ではないだろうか。まぁ、知らんけど。
そして、川崎先生が私の言葉に対して返答しようとしている。どんな返答をするのか少し気になった。彼女は私にどのような思いや、感情をいだいて見ていたのか…。それが無性に気になってしまった。そして、川崎先生の返答を聞いて私は言葉を失った。
「輝は、私から見てバレー好きじゃないのかなって思った。でも、一生懸命がんばれてたし、よかったと思う」
私は頭に血が登るのを感じた。なんでそう思うのだろうか…。チームの誰よりも部活に参加して、誰よりも新しいことに挑戦して、それでバレー好きじゃないなんていえるのか!?川崎先生は、やっぱり私のことなど見ていなかったたのだ。私は最後まで、川崎先生のことを好きにはなれなかったようだ。皆は、少しは先生のことが好きだったのか別れを惜しんでいた。私は、彼女らの思考が理解できなかった。憎んでいた相手に何故、礼を言うのだろうか。言って何になるのだろうか…。様々なことが、自分の頭に浮かんでは消え、また新しいことが更新されて行く…。こんな、自分はどうかしているのだろうか…。
そして、私達の中学校でのバレーボール人生は幕を閉じた。

    
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