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episode23
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「ニーナ姫。御身柄を拘束させて頂きます。」
国王近衛隊の兵達に囲まれた私は、一切の抵抗もせずに両手を差し出した。
カミル殿下と共にセナを探しに渡り廊下を走ってる所だったが、まさか…
セナだけではなく、サーバスも姿を消していたのだ。
窓もない地下牢。鉄格子越しには2人の兵。さらに階段を登った先の地下牢入り口にも2人の兵が立ち、厳重に警備されていたのに…だ。
セナの主である私に疑いがかけられるのは当然の事だろう。
今騒ぎたてるのは逆効果だ。
国王近衛隊が動いたということは、国として私を捉える命令が降ったのだろう。
「カミル殿下。もし可能であれば、チト…という者を調べていただけますか?彼女が何かを知っているはずです。」
「やはり…チトが関係していたのですね。査問会までには戻ります。」
王子はマントを翻すと、兵達に厳しい目を向けた。
「姫を丁重に扱う様、大臣達に言え。」
カミル殿下が見えなくなると、兵たちは私を囲んで言った。
「姫。どうか無礼を御許しください。抵抗しなければ縛るつもりもございません。御同行ねがえますか。」
逃げるつもりも、抵抗するつもりもない。
この国に来てからの一連の騒動について、私には知る権利がある。
査問会ならこの国の上層階級はお揃いのはず。
サーバスを逃すにはそれなりの権力が必要なのだから、犯人はその中にいるはずだ。
だれが私を犯人として仕立て上げようとしているのか…絶対に突き止めてみせる。
私は兵をまっすぐに見つめ、そして頷いた。
「ではこちらへ。」
カミル殿下はチトに何か聞き出す事ができるだろうか…
それによって査問会の内容も変わってくるはずだわ。
細くて暗い廊下を渡り、査問会が開かれる議事場の隣にある小さな部屋で立ち止まった。
「こちらでお待ち下さい。」
「ええ。わかりました。」
中には木でできた簡素な椅子が一脚置かれているだけだ。
窓もなく、灯りは兵が置いていった蝋燭ランプのみ…
これで私が犯人じゃなかったら…って考えないのかしら…。
椅子に座ると深くため息をついた。
国王近衛隊の兵達に囲まれた私は、一切の抵抗もせずに両手を差し出した。
カミル殿下と共にセナを探しに渡り廊下を走ってる所だったが、まさか…
セナだけではなく、サーバスも姿を消していたのだ。
窓もない地下牢。鉄格子越しには2人の兵。さらに階段を登った先の地下牢入り口にも2人の兵が立ち、厳重に警備されていたのに…だ。
セナの主である私に疑いがかけられるのは当然の事だろう。
今騒ぎたてるのは逆効果だ。
国王近衛隊が動いたということは、国として私を捉える命令が降ったのだろう。
「カミル殿下。もし可能であれば、チト…という者を調べていただけますか?彼女が何かを知っているはずです。」
「やはり…チトが関係していたのですね。査問会までには戻ります。」
王子はマントを翻すと、兵達に厳しい目を向けた。
「姫を丁重に扱う様、大臣達に言え。」
カミル殿下が見えなくなると、兵たちは私を囲んで言った。
「姫。どうか無礼を御許しください。抵抗しなければ縛るつもりもございません。御同行ねがえますか。」
逃げるつもりも、抵抗するつもりもない。
この国に来てからの一連の騒動について、私には知る権利がある。
査問会ならこの国の上層階級はお揃いのはず。
サーバスを逃すにはそれなりの権力が必要なのだから、犯人はその中にいるはずだ。
だれが私を犯人として仕立て上げようとしているのか…絶対に突き止めてみせる。
私は兵をまっすぐに見つめ、そして頷いた。
「ではこちらへ。」
カミル殿下はチトに何か聞き出す事ができるだろうか…
それによって査問会の内容も変わってくるはずだわ。
細くて暗い廊下を渡り、査問会が開かれる議事場の隣にある小さな部屋で立ち止まった。
「こちらでお待ち下さい。」
「ええ。わかりました。」
中には木でできた簡素な椅子が一脚置かれているだけだ。
窓もなく、灯りは兵が置いていった蝋燭ランプのみ…
これで私が犯人じゃなかったら…って考えないのかしら…。
椅子に座ると深くため息をついた。
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