22 / 25
episode22
しおりを挟む
「ニーナ姫。中庭は今立入禁止となっています。話なら私が伺いましょう。」
カミル殿下の様子から察するに、私のことを中庭に近づけたくない理由がありそうだわ…。
一体どうして…。
「カミル殿下。サーバスについてですが…」
「ニーナ姫!その話は私の部屋で伺いましょうか。」
話を遮る様にカミル殿下はそう言うと、腰に手を当てて通路を歩く様促した。その所作に、少しの不安を覚えながら、カミル殿下の部屋に入ると、殿下はそのまま部屋の鍵をかけた。
「…あなた。カミル殿下では無いわね…!?誰?名乗りなさい!」
「何をおっしゃるのです?ニーナ姫。私はカミルです。」
「いいえ。カミル殿下は私と2人の時、扉の前に衛兵を立たせます。それに、鍵をかけたりはしなかったわ。貴方は誰?」
そう言ったと同時に、背筋が凍りつくのを感じ、護身用にドレスの中にひそませている短剣をカミル殿下に向けた。
「バレたかぁ。」
聞き覚えのある声…まさか…
「チト?!」
「正解ですよ。お姫様!」
カミル殿下は焼かれた人形の様に頭から溶けていき、その影から捻れる様に出てきたのはチトだった。
「!!?何…どうゆうこと?」
「説明は苦手なんですよねぇ。まぁ、一つだけ教えましょうか。私は貴方に言いましたよねえ。噴水を覗き込むな。と。」
「そうね。聞いたわ。覗き込んでいない!」
「なぜ、侍女にも忠告しなかったのです?」
「!?セナに何をしたの!!?」
「私は何も?」
「セナは今どこ!?教えなさい!!!」
チトはくすくすと笑うと、窓の外を指差した。
窓からは中庭が見えている。もちろん、あの噴水も。
「中庭に…?え…まさか、今衛兵が立っているのは…!!?」
振り返るとそこにはもうチトの姿は無かった。
私は急いで部屋の鍵を開けて外に出ると、こちらに向かってきていたカミル殿下にぶつかった。
「ニーナ姫!?」
「…本物?」
お互いに驚いていると、衛兵たちが私に槍を突き付けて叫び声を上げた。
「こちらはカミル殿下のお部屋!!こちらで何を!?」
言い訳できる状況じゃ無い…だけど今すぐにセナの元へ行かなければ…どうしたら
葛藤していると、カミル殿下は兵達に槍を下ろす様に命令した。
「さきに部屋に入っていてほしいと私が頼んだのだ。2人きりになりたい。退がれ。」
「失礼いたしました!」
兵達が退がり、周りに人がいない事を確認すると、カミル殿下はため息をついた。
「貴方に話さなければならないことがありますが、その前にお急ぎの様でしたね」
「私の侍女の身に何かあったようなの!急いで行かなきゃ!!!」
「私も一緒に行きましょう!」
カミル殿下の様子から察するに、私のことを中庭に近づけたくない理由がありそうだわ…。
一体どうして…。
「カミル殿下。サーバスについてですが…」
「ニーナ姫!その話は私の部屋で伺いましょうか。」
話を遮る様にカミル殿下はそう言うと、腰に手を当てて通路を歩く様促した。その所作に、少しの不安を覚えながら、カミル殿下の部屋に入ると、殿下はそのまま部屋の鍵をかけた。
「…あなた。カミル殿下では無いわね…!?誰?名乗りなさい!」
「何をおっしゃるのです?ニーナ姫。私はカミルです。」
「いいえ。カミル殿下は私と2人の時、扉の前に衛兵を立たせます。それに、鍵をかけたりはしなかったわ。貴方は誰?」
そう言ったと同時に、背筋が凍りつくのを感じ、護身用にドレスの中にひそませている短剣をカミル殿下に向けた。
「バレたかぁ。」
聞き覚えのある声…まさか…
「チト?!」
「正解ですよ。お姫様!」
カミル殿下は焼かれた人形の様に頭から溶けていき、その影から捻れる様に出てきたのはチトだった。
「!!?何…どうゆうこと?」
「説明は苦手なんですよねぇ。まぁ、一つだけ教えましょうか。私は貴方に言いましたよねえ。噴水を覗き込むな。と。」
「そうね。聞いたわ。覗き込んでいない!」
「なぜ、侍女にも忠告しなかったのです?」
「!?セナに何をしたの!!?」
「私は何も?」
「セナは今どこ!?教えなさい!!!」
チトはくすくすと笑うと、窓の外を指差した。
窓からは中庭が見えている。もちろん、あの噴水も。
「中庭に…?え…まさか、今衛兵が立っているのは…!!?」
振り返るとそこにはもうチトの姿は無かった。
私は急いで部屋の鍵を開けて外に出ると、こちらに向かってきていたカミル殿下にぶつかった。
「ニーナ姫!?」
「…本物?」
お互いに驚いていると、衛兵たちが私に槍を突き付けて叫び声を上げた。
「こちらはカミル殿下のお部屋!!こちらで何を!?」
言い訳できる状況じゃ無い…だけど今すぐにセナの元へ行かなければ…どうしたら
葛藤していると、カミル殿下は兵達に槍を下ろす様に命令した。
「さきに部屋に入っていてほしいと私が頼んだのだ。2人きりになりたい。退がれ。」
「失礼いたしました!」
兵達が退がり、周りに人がいない事を確認すると、カミル殿下はため息をついた。
「貴方に話さなければならないことがありますが、その前にお急ぎの様でしたね」
「私の侍女の身に何かあったようなの!急いで行かなきゃ!!!」
「私も一緒に行きましょう!」
0
お気に入りに追加
52
あなたにおすすめの小説
「お前を妻だと思ったことはない」と言ってくる旦那様と離婚した私は、幼馴染の侯爵から溺愛されています。
木山楽斗
恋愛
第二王女のエリームは、かつて王家と敵対していたオルバディオン公爵家に嫁がされた。
因縁を解消するための結婚であったが、現当主であるジグールは彼女のことを冷遇した。長きに渡る因縁は、簡単に解消できるものではなかったのである。
そんな暮らしは、エリームにとって息苦しいものだった。それを重く見た彼女の兄アルベルドと幼馴染カルディアスは、二人の結婚を解消させることを決意する。
彼らの働きかけによって、エリームは苦しい生活から解放されるのだった。
晴れて自由の身になったエリームに、一人の男性が婚約を申し込んできた。
それは、彼女の幼馴染であるカルディアスである。彼は以前からエリームに好意を寄せていたようなのだ。
幼い頃から彼の人となりを知っているエリームは、喜んでその婚約を受け入れた。二人は、晴れて夫婦となったのである。
二度目の結婚を果たしたエリームは、以前とは異なる生活を送っていた。
カルディアスは以前の夫とは違い、彼女のことを愛して尊重してくれたのである。
こうして、エリームは幸せな生活を送るのだった。
愛する義兄に憎まれています
ミカン♬
恋愛
自分と婚約予定の義兄が子爵令嬢の恋人を両親に紹介すると聞いたフィーナは、悲しくて辛くて、やがて心は闇に染まっていった。
義兄はフィーナと結婚して侯爵家を継ぐはずだった、なのにフィーナも両親も裏切って真実の愛を貫くと言う。
許せない!そんなフィーナがとった行動は愛する義兄に憎まれるものだった。
2023/12/27 ミモザと義兄の閑話を投稿しました。
ふわっと設定でサクっと終わります。
他サイトにも投稿。
危害を加えられたので予定よりも早く婚約を白紙撤回できました
しゃーりん
恋愛
階段から突き落とされて、目が覚めるといろんな記憶を失っていたアンジェリーナ。
自分のことも誰のことも覚えていない。
王太子殿下の婚約者であったことも忘れ、結婚式は来年なのに殿下には恋人がいるという。
聞くところによると、婚約は白紙撤回が前提だった。
なぜアンジェリーナが危害を加えられたのかはわからないが、それにより予定よりも早く婚約を白紙撤回することになったというお話です。
もう一度だけ。
しらす
恋愛
私の一番の願いは、貴方の幸せ。
最期に、うまく笑えたかな。
**タグご注意下さい。
***ギャグが上手く書けなくてシリアスを書きたくなったので書きました。
****ありきたりなお話です。
*****小説家になろう様にても掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる