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episode17
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野営地に着き、部隊ごとに休息をとるよう、指示が出された。
午後からの出発だったにも関わらず、砂漠を越え、すでに近隣国の領地内に入っていた。
「カミル殿下、お気をつけください。国王会議が周知の事といえど、御命を狙う輩は0ではありません。」
「わかっている。ただ、檻に入れられたチトを少しの間、自由にしてやりたい。」
「承知いたしました。それでは護衛を数人付けさせていただにます。」
近衛隊隊長のガルーラと兵数人、それに、側近のケフィアを連れ、チトの檻まで行くと、チトはすぐに気づいて立ちあがろうとした。
「ジァァアアア!ジァァアアア!」
「待たせたな。チト。今自由にしてやるぞ!」
檻の鍵を開け、頭を撫でてからチトの背中に飛び乗ると、チトは空高く飛び上がった。
「ケフィア!ガルーラ!あっちの丘まで行く。」
「はっ!我々も馬でついて行きます!」
「ジァァアアア!ジァァアアア!」
「窮屈だっただろう?すまない。思う存分飛んで良いぞ!」
ん
雲を蹴散らすほどに空高く舞い上がったチトは、そのまま凄い速さで夜空を旋回した。
「ははは。凄いぞ!チト!今日は一段と早い!」
最速の馬に乗る近衛隊ですら、はるか後方から必死についてくるほどだ。
「ジァァアアア!ジァァアアア!」
空の上から休めそうな地を探し、小高い丘を見つけると、そこに降り立つ様に促した。
「よしよし…良い子だ。」
「カミル殿下!」
後から追いついた近衛隊たちやケフィアは息を切らして駆け寄ってきた。
「ドラゴンを同行させるなど…と、心配だったのですが、カミル殿下の言うことを良く聞いている様ですね。」
「産まれた時から一緒だからな。兄弟みたいなものだ。」
「兄弟ですか。こりゃまたなんと頼もしい弟君か。わっはっはっは。」
「ジァァアアア!!!!」
皆で笑い合っていると、大人しかったチトが急に興奮気味に鳴いたので驚いて振り返ると、後方からやっと追いついた兵の一人が血相を変えてこちらに向かってきた。
「?!その怪我はどうした?」
「殿下!お戻りください!ピッティ族です!」
ピッティ族とは、どの国にも属さず、それでいて高い武力を持ち、近づいた者の身包みを剥いで無差別に殺す残虐な部族だと聞く。
「他のものはどうした?!」
「何人かはヤられました!今、数名が応援を呼びに行っております。殿下!どうか御早くっっぐぁ!!」
「!?!!」
兵はぐったりとその場に倒れこんだ。
背中には矢が突き刺さっている。
「殿下こちらへ!!早く!チト!殿下を御守りしろ!!」
ガルーダが叫ぶより早く、チトは既に興奮して威嚇の姿勢をとっていた。
「みろよ。ドラゴンだ。俺の言った通りだろ?」
「しかも、調教されている。」
「こいつは高値がつくぞ。」
「ピッティ族よ。話合いを出来るものはいるか?」
「殿下!おやめください!」
「話合いだ?」
「そうだ。我は、ハンガルドの皇子カミル。直ぐに応援が来る。お前たちには不利な戦いだ。退いて話合いを。」
「はっはっはっは!これはこれは皇子様。話合いとは、こうゆう事ですかな?」
-ターーーン!-
ピッティ族の1人が素早く前に出て、チトの胸に銃弾を打ち込んだ!チトがのたうつように暴れ、その場に崩れた。
「ジァァアアア…ァ」
「チト!!!!」
「子どものドラゴンは皮膚が柔らかいと聞いていたが本当だな。大人ならビクともしない」
その瞬間…私の中で黒い靄が広がり、頭に血が昇るのを感じた。
午後からの出発だったにも関わらず、砂漠を越え、すでに近隣国の領地内に入っていた。
「カミル殿下、お気をつけください。国王会議が周知の事といえど、御命を狙う輩は0ではありません。」
「わかっている。ただ、檻に入れられたチトを少しの間、自由にしてやりたい。」
「承知いたしました。それでは護衛を数人付けさせていただにます。」
近衛隊隊長のガルーラと兵数人、それに、側近のケフィアを連れ、チトの檻まで行くと、チトはすぐに気づいて立ちあがろうとした。
「ジァァアアア!ジァァアアア!」
「待たせたな。チト。今自由にしてやるぞ!」
檻の鍵を開け、頭を撫でてからチトの背中に飛び乗ると、チトは空高く飛び上がった。
「ケフィア!ガルーラ!あっちの丘まで行く。」
「はっ!我々も馬でついて行きます!」
「ジァァアアア!ジァァアアア!」
「窮屈だっただろう?すまない。思う存分飛んで良いぞ!」
ん
雲を蹴散らすほどに空高く舞い上がったチトは、そのまま凄い速さで夜空を旋回した。
「ははは。凄いぞ!チト!今日は一段と早い!」
最速の馬に乗る近衛隊ですら、はるか後方から必死についてくるほどだ。
「ジァァアアア!ジァァアアア!」
空の上から休めそうな地を探し、小高い丘を見つけると、そこに降り立つ様に促した。
「よしよし…良い子だ。」
「カミル殿下!」
後から追いついた近衛隊たちやケフィアは息を切らして駆け寄ってきた。
「ドラゴンを同行させるなど…と、心配だったのですが、カミル殿下の言うことを良く聞いている様ですね。」
「産まれた時から一緒だからな。兄弟みたいなものだ。」
「兄弟ですか。こりゃまたなんと頼もしい弟君か。わっはっはっは。」
「ジァァアアア!!!!」
皆で笑い合っていると、大人しかったチトが急に興奮気味に鳴いたので驚いて振り返ると、後方からやっと追いついた兵の一人が血相を変えてこちらに向かってきた。
「?!その怪我はどうした?」
「殿下!お戻りください!ピッティ族です!」
ピッティ族とは、どの国にも属さず、それでいて高い武力を持ち、近づいた者の身包みを剥いで無差別に殺す残虐な部族だと聞く。
「他のものはどうした?!」
「何人かはヤられました!今、数名が応援を呼びに行っております。殿下!どうか御早くっっぐぁ!!」
「!?!!」
兵はぐったりとその場に倒れこんだ。
背中には矢が突き刺さっている。
「殿下こちらへ!!早く!チト!殿下を御守りしろ!!」
ガルーダが叫ぶより早く、チトは既に興奮して威嚇の姿勢をとっていた。
「みろよ。ドラゴンだ。俺の言った通りだろ?」
「しかも、調教されている。」
「こいつは高値がつくぞ。」
「ピッティ族よ。話合いを出来るものはいるか?」
「殿下!おやめください!」
「話合いだ?」
「そうだ。我は、ハンガルドの皇子カミル。直ぐに応援が来る。お前たちには不利な戦いだ。退いて話合いを。」
「はっはっはっは!これはこれは皇子様。話合いとは、こうゆう事ですかな?」
-ターーーン!-
ピッティ族の1人が素早く前に出て、チトの胸に銃弾を打ち込んだ!チトがのたうつように暴れ、その場に崩れた。
「ジァァアアア…ァ」
「チト!!!!」
「子どものドラゴンは皮膚が柔らかいと聞いていたが本当だな。大人ならビクともしない」
その瞬間…私の中で黒い靄が広がり、頭に血が昇るのを感じた。
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