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episode9(変更あり)
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亡くなった女官のことをもう少し詳しく調べてみる必要がある…でもどうやって…。
空を見ると、もう日が城壁の影に沈み、月がうっすらと登り始めていた。
手紙に書いてあった時刻が迫ってきている。
チトは、噴水は覗き込まない様に…と言っていたけど、手紙に書いてある待合場所は噴水だ…。
「行くのは危険です。ニーナ様。どうか、この部屋にお留まりを!」
時間が迫っているというのに、考えがまとまらない。せめて…衛兵隊長が帰ってきていたら…。
「衛兵隊長には何を調べさせているのです?」
衛兵隊長に調べさせている事。それは、ここを出た後、姫君方がみな城に帰っているかということ。
ロードレスの城下町、カバルナは商人や旅人が多く行き交う自由貿易の町。情報を集めるのは容易いだろう。
「もし他国の姫君方が本当に殺されているのなら、噂になっているはずだわ。」
それから…窓辺に座り、日がゆっくりと沈んでいくのを眺めながら衛兵隊長を待ったけれど、月が完全に昇り、辺りが暗くなって松明が灯っても、衛兵隊長は戻らなかった。
そして、月が空の真上に登った。
「セナ…時間だわ。私に考えがあるの。一緒に来てくれる?」
「…承知いたしました。お供いたします。」
音を立てない様に部屋から出ると、松明の灯る暗い廊下にでてすぐに中庭に抜けられる階段がある。
階段を静かに降りて行き、中庭の噴水前までくると、明るい時にみたあの美しい庭は、ちょうど低木の花々が壁になり、渡り廊下や壁際にいくつも建っている松明の灯りがまったくあたらないことに気づいた。空を見上げると、月も厚い雲に覆われて隠れている。
「こんな暗い場所に、皇太子殿下はくるのでしょうか?」
「いいえ…。来るのは皇太子殿下じゃない」
大体検討はついていた。ただ、理由がわからない…どうして彼はそんなことを…。
低木の枝が少し揺れたかと思うと、その隙間からサーバスと2人の兵士が物音を立てずに近づいてきた。
「ニーナ姫。こんな時間にこの場所で…何をなさっておいでですか?」
「まぁ。その言葉、そのままお返しいたしますわ。サーバス。」
眉間に皺を寄せ、訝しげな眼差しをしたかと思うと、目を細め無表情のまま、こちらに近づいてきた。
「なぜ、カミル皇太子殿下からではないと気付いたのだ。」
「あの砂糖菓子。あれはロードレスではなくカナンの物。他国の店を贔屓にはできないはずですもの。」
そう言って、一つ持ってきた砂糖菓子を紙包からだして見せた。
「ふん。まぁいいだろう。小娘1人に知られたところで計画に支障が出るわけではない。」
サーバスは開き直り、ローブの中から綱紐とナイフを取り出した。
空を見ると、もう日が城壁の影に沈み、月がうっすらと登り始めていた。
手紙に書いてあった時刻が迫ってきている。
チトは、噴水は覗き込まない様に…と言っていたけど、手紙に書いてある待合場所は噴水だ…。
「行くのは危険です。ニーナ様。どうか、この部屋にお留まりを!」
時間が迫っているというのに、考えがまとまらない。せめて…衛兵隊長が帰ってきていたら…。
「衛兵隊長には何を調べさせているのです?」
衛兵隊長に調べさせている事。それは、ここを出た後、姫君方がみな城に帰っているかということ。
ロードレスの城下町、カバルナは商人や旅人が多く行き交う自由貿易の町。情報を集めるのは容易いだろう。
「もし他国の姫君方が本当に殺されているのなら、噂になっているはずだわ。」
それから…窓辺に座り、日がゆっくりと沈んでいくのを眺めながら衛兵隊長を待ったけれど、月が完全に昇り、辺りが暗くなって松明が灯っても、衛兵隊長は戻らなかった。
そして、月が空の真上に登った。
「セナ…時間だわ。私に考えがあるの。一緒に来てくれる?」
「…承知いたしました。お供いたします。」
音を立てない様に部屋から出ると、松明の灯る暗い廊下にでてすぐに中庭に抜けられる階段がある。
階段を静かに降りて行き、中庭の噴水前までくると、明るい時にみたあの美しい庭は、ちょうど低木の花々が壁になり、渡り廊下や壁際にいくつも建っている松明の灯りがまったくあたらないことに気づいた。空を見上げると、月も厚い雲に覆われて隠れている。
「こんな暗い場所に、皇太子殿下はくるのでしょうか?」
「いいえ…。来るのは皇太子殿下じゃない」
大体検討はついていた。ただ、理由がわからない…どうして彼はそんなことを…。
低木の枝が少し揺れたかと思うと、その隙間からサーバスと2人の兵士が物音を立てずに近づいてきた。
「ニーナ姫。こんな時間にこの場所で…何をなさっておいでですか?」
「まぁ。その言葉、そのままお返しいたしますわ。サーバス。」
眉間に皺を寄せ、訝しげな眼差しをしたかと思うと、目を細め無表情のまま、こちらに近づいてきた。
「なぜ、カミル皇太子殿下からではないと気付いたのだ。」
「あの砂糖菓子。あれはロードレスではなくカナンの物。他国の店を贔屓にはできないはずですもの。」
そう言って、一つ持ってきた砂糖菓子を紙包からだして見せた。
「ふん。まぁいいだろう。小娘1人に知られたところで計画に支障が出るわけではない。」
サーバスは開き直り、ローブの中から綱紐とナイフを取り出した。
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