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episode4
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ロードレスの皇太子カミル殿下にお会いするのは、これが初めてではない。
9歳の頃、父であるハンガルドの国王が各国の王との議会に参加された際、何人かの兄弟達と一緒にカナン帝国をおとづれた。中立国であるカナンはとても豊かな国土を持ち、芳しく色とりどりの花が咲き乱れ、造型建築物と自然が融合する美しい国だった。
「退屈すぎて息が詰まりそう。お庭を散策させていただいてもよろしいかしら?」
「ニーナ様!国王様は議会が終わった後はパーティに参列するのです。ですから、ニーナ様も…」
側近の兵が話終わる前に駆け出し、庭にあるバラのアーチをくぐり、くすくすと笑いながらテーブルの下に隠れると男の子がしゃがんで隠れていたことに気がついた
「君も退屈で抜け出してきたの?あ、僕はカナンの王子でリューク。きみは?」
「えぇ。あなたもなの?私の名前はニーナ。」
目を見合わせてクスクスと笑い合っていると、
キラキラと光る宝石のような形の砂糖菓子を差し出してきた。
「まぁ。なんて可愛らしいの?」
「あげる。たべてごらんよ。」
躊躇いはあった…けれど、9歳の私は不安よりも好奇心が先に立ち、そっとリュークの手のひらに乗っている砂糖菓子をつまみ、辺りを見回してから口に放り込んだ。
「ん!…え?まぁ!」
口に入れて歯で砕いた途端パチパチと弾け、そしてあとから優しい果物のようなさわやかな甘いシロップが舌いっぱいに広がった。
「驚いたでしょ?そのキャンディは贈物として持ってきたものを少し貰ったんだ。」
「ええ!凄く驚いたわ!キャンディが生き物みたいに口の中でパチパチと弾けるんですもの!あなたの国のお菓子なの?素敵ね!」
リュークはすこし誇らしげに笑顔を見せた。
「もっといいものを見せてあげる!来なよ!」
自国の城の中にはないワクワク感に鼓動が高鳴り、差し出された手のひらに手を合わせ、2人で走り出した。
「あ!姫!そんなところに!お待ちください!!」
「君の国の兵?!見つかっちゃったね!でも大丈夫!着いてきて。手を離さないで。」
「姫!!!」
後ろを振り返りながら走り、追いつかれないようにつぎつぎに椅子やテーブルを倒し、大人は通れない城壁の模様の隙間を通り抜けた。
「はやく!追いつかれちゃうよ!」
城内に入ると厨房や麦の貯蔵室を走り抜け、書庫に忍び入り、本棚の隙間から通路の様子を伺うと、どうやら兵達は撒くことができたようで、ようやく胸を撫で下ろした。
「あなたって毎日こんなことをして遊んでいるの?私こんなこと初めてだわ!心臓がいくつあっても足りないわね」
「もっといいものを見せるっていっただろ?
ほら、付いてきて。秘密の扉があるんだ。」
リュークが書庫の1番奥にある古い絵本が並べられた棚を押すと、ゆっくり棚が下がっていき、小さな子供が通れるくらいの通路が出来上がった。
「…すごい。隠し扉ね…。」
「中に入って覗いてごらん。」
言われるままに通路の奥にある小窓から中を除きこむと、そこにはドラゴンが悠々と寝息を立てて眠っているのが見えた。
9歳の頃、父であるハンガルドの国王が各国の王との議会に参加された際、何人かの兄弟達と一緒にカナン帝国をおとづれた。中立国であるカナンはとても豊かな国土を持ち、芳しく色とりどりの花が咲き乱れ、造型建築物と自然が融合する美しい国だった。
「退屈すぎて息が詰まりそう。お庭を散策させていただいてもよろしいかしら?」
「ニーナ様!国王様は議会が終わった後はパーティに参列するのです。ですから、ニーナ様も…」
側近の兵が話終わる前に駆け出し、庭にあるバラのアーチをくぐり、くすくすと笑いながらテーブルの下に隠れると男の子がしゃがんで隠れていたことに気がついた
「君も退屈で抜け出してきたの?あ、僕はカナンの王子でリューク。きみは?」
「えぇ。あなたもなの?私の名前はニーナ。」
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キラキラと光る宝石のような形の砂糖菓子を差し出してきた。
「まぁ。なんて可愛らしいの?」
「あげる。たべてごらんよ。」
躊躇いはあった…けれど、9歳の私は不安よりも好奇心が先に立ち、そっとリュークの手のひらに乗っている砂糖菓子をつまみ、辺りを見回してから口に放り込んだ。
「ん!…え?まぁ!」
口に入れて歯で砕いた途端パチパチと弾け、そしてあとから優しい果物のようなさわやかな甘いシロップが舌いっぱいに広がった。
「驚いたでしょ?そのキャンディは贈物として持ってきたものを少し貰ったんだ。」
「ええ!凄く驚いたわ!キャンディが生き物みたいに口の中でパチパチと弾けるんですもの!あなたの国のお菓子なの?素敵ね!」
リュークはすこし誇らしげに笑顔を見せた。
「もっといいものを見せてあげる!来なよ!」
自国の城の中にはないワクワク感に鼓動が高鳴り、差し出された手のひらに手を合わせ、2人で走り出した。
「あ!姫!そんなところに!お待ちください!!」
「君の国の兵?!見つかっちゃったね!でも大丈夫!着いてきて。手を離さないで。」
「姫!!!」
後ろを振り返りながら走り、追いつかれないようにつぎつぎに椅子やテーブルを倒し、大人は通れない城壁の模様の隙間を通り抜けた。
「はやく!追いつかれちゃうよ!」
城内に入ると厨房や麦の貯蔵室を走り抜け、書庫に忍び入り、本棚の隙間から通路の様子を伺うと、どうやら兵達は撒くことができたようで、ようやく胸を撫で下ろした。
「あなたって毎日こんなことをして遊んでいるの?私こんなこと初めてだわ!心臓がいくつあっても足りないわね」
「もっといいものを見せるっていっただろ?
ほら、付いてきて。秘密の扉があるんだ。」
リュークが書庫の1番奥にある古い絵本が並べられた棚を押すと、ゆっくり棚が下がっていき、小さな子供が通れるくらいの通路が出来上がった。
「…すごい。隠し扉ね…。」
「中に入って覗いてごらん。」
言われるままに通路の奥にある小窓から中を除きこむと、そこにはドラゴンが悠々と寝息を立てて眠っているのが見えた。
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